「スニーカーの王」ナイキを履く人が減った
街行く人の足元を覗いてみると、ビジネスマンだけではなく、高齢者から若い女性まで、老若男女問わずスニーカーの日常使いがすっかり浸透したように思います。
しかし、これまでのスニーカー業界のパワーバランスでは考えられない「ある異変」を感じるようになりました。
長年「スニーカーの王」として君臨してきた「ナイキ」ブランドのスニーカーを履く人の割合が明らかに少なくなっているのです。代わりに多く見かけるようになったのが、スイス発のOn(オン)やフランス発のHOKA(ホカ)、そして日本が誇るアシックスといったブランドです。
苦境が続く靴業界で唯一気を吐いているスニーカー界に何が起きているのでしょうか。
革靴、パンプスからスニーカーに履き替えている
矢野経済研究所の靴・履物小売市場調査によると、スニーカーを含むスポーツシューズの市場規模は、2019年度には6827億円だったものが、2024年度は7173億円と史上最高額を記録しました。この勢いは止まらないと考えられており、2025年度には7280億円、26年度には7320億円にまで高まると予測されています。
一方で、靴業界全体を見ると、メンズビジネス革靴を含む紳士靴は需要が低迷しており、ヒールやパンプスを含む婦人靴分野もコロナ前の水準まで回復していません。靴・履物小売市場全体がいまだにコロナ禍で失った需要を取り戻せていない状態で、スポーツシューズだけが過去最高を更新し続けているのです。
要は、現役世代は歩きやすさや疲れにくさ、快適さという選択基準によって、革靴やヒール、パンプスからスニーカーへの大規模な乗り換えが起きており、これがメンズ革靴業界、ヒール、パンプスなどのレディース靴業界の苦戦の最大の理由だと考えられます。
裏返すと、こうした時流の流れが現代のスニーカー人気を牽引しているといえます。
ただ、一口に「スニーカー人気」と言っても、人気の傾向には変遷があります。
オジサン世代にとってスニーカーといえば「ナイキ」という印象が強いのではないでしょうか。しかし、その「ナイキ」人気にも陰りが見えており、ナイキに代わる新しいブランドがいくつか現れています。まさに諸行無常です。


