ナイキのシェアを奪うオン、ホカ、アシックス

間違えてはならないのは、今でもナイキの全世界売上高はスポーツブランド1位だということです。2025年5月期決算で売上高は約6兆8000億円と発表されています。2位のアディダスの25年12月決算の売上高が約4兆6000億円ですから、その差は圧倒的です。

しかし、ナイキの25年5月期売上高が対前期比9.8%減に終わっている一方で、アディダスが同4.8%増と2期連続増収していることと比べると、ブランドとしての「勢い」は明らかに弱まっているといえます。

ナイキの不調に呼応するように、2023年ごろから急速に消費者からの注目を集め始めたのが、オン、ホカ、アシックスといったブランドです。またスケッチャーズ(アメリカ)が手を使わずに履けるスニーカーで大ヒットを飛ばし、急成長しています。他ブランドから類似商品が相次いで発売されているほどです。

もちろん、いずれの企業の売上高もナイキには遠く及びませんが、消費者からの注目度は急速に高まっています。周囲の反応を見ていると、走りやすさやクッション性の高さなどの機能性が実用面から評価されるとともに、ファッション層からもファッションアイテムとして支持されているのが特徴的といえます。

ファッショントレンドでいうなら、ナイキスニーカーに飽きた人が増え、それがオン、ホカ、アシックスなどのブランドに流れていると感じられます。ファッショントレンドは乱暴に言うと「人びとの気分」ですから、今の「気分」がナイキではないということなのでしょう。普及し切ってしまうと急速に陳腐化してしまうのは、ナイキに限らずどのファッションアイテム、ファッションブランドでも同じことです。

ジョギング、ランニング人気も後押し

一口にスニーカーと言ってもランニング用、バスケットボール用、フットサル用などさまざまな用途に分かれています。どの用途も同じように好調というわけではなく、ここ数年間は圧倒的にランニング用スニーカーの人気が高く、むしろバスケットボール用などの人気は全く高まっていない印象があります。

実際、今注目のオン、ホカ、アシックスの3ブランドもランニング用ハイテクスニーカーが主力商材です。トラディショナルなオニツカタイガーのスニーカーよりも、アシックスのスニーカーのほうが注目されているのは興味深い現象です。

OnのスニーカーとHOKAの店舗
右)写真=iStock.com/Roman Tiraspolsky

背景にはマス層のジョギング人気・マラソン人気・ランニング人気が高まっていることがあります。バスケットボール用などに比べると、歩きやすさ・走りやすさが重視されている構造が日常生活にも適していると判断されて需要が伸びていると考えられます。それに加えて、靴のアッパーのデザイン性がファッションとしても注目されているといえます。