中央値250万円が示す格差社会のリアル
カネ余り時代の資産効果により富裕層が増えており、高級外車や不動産など活発な消費や投資によって経済が潤ってきている。マクロ経済全体でみれば、消費主体であろうと投資主体であろうと、富を生み出すのであればどちらであっても問題ないのかもしれない。
とはいえ、カネ余りで消費や投資が牽引する社会では、更なる格差社会を呼ぶことになる。元手となる不動産や株式など金融資産を持つものは、資産価値の高騰により更なる消費や投資が可能になり、ますます富むことになる。
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、我が国の金融資産保有額(総世帯)は、1000万円以上が28.4%に対して、100万円未満も37.7%存在しており、二極化している(図表2)。平均値は1245万円に対して、中央値は250万円となっており、一部の富裕層が平均値を引き上げているのが分かる。
富裕層の増加と働かなくてもいい時代の到来は、そうでない者との更なる格差を生むことになっている。
世界的なカネ余りによる消費や投資への影響に加え、マグニフィセント・セブン(アルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディア)などが米国で株価を猛烈に押し上げている。
AIが稼いで人間は遊ぶ時代の到来
その資産効果により富裕層の総数が増える一方、AIの加速度的な普及・導入により人間の職が奪われ、失業および就職できない者も増加してきている。格差社会が加速度的に拡大し、働かなくてもいい人と働けない人がともに増えることになる。
もっとも従来と違うのは、AI革命によって、事務職を中心に失業は増えるものの、富裕層は増え、人件費の削減効果により企業業績や株式市場は好調を維持し、経済全体では成長を続けることになる。
つまり、従来の成長と雇用がともに増えていく経済社会から、AI革命により、成長はしていくが雇用は減っていく経済社会が、米国を先頭にわが国日本など他の先進国などでも到来しようとしている。
失業は増え格差は拡大するものの、経済自体は成長しているので、好調な企業からの法人税や富裕層からの所得税などを中心に国に納める税収は増え続けることになる。このため、豊富な財源を生かし、財政出動によって、失業対策や雇用対策が行われることになるケースが想定されるが、現状がそうであるように、仕事や雇用そのものを増やすのは容易ではない。
結果的に、富裕層などもともと働かなくてもいい人に加え、そうでない人々も公的支援の充実により一義的には「働かなくてもいい時代」「退屈でひまな社会」が到来することになるのだ。


