※本稿は、小出翔『誰もが成長し活躍する会社のしくみ』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
人材不足の真因は「スキルのミスマッチ」
採用難、離職率の高さ、社員の高齢化……。
なぜ、人手不足は解消されないのか?
この問いを、皆さんはどう考えるでしょうか。本当に「人がいない」のでしょうか。それとも、「今、必要なスキルを持った人がいない」のでしょうか?
「社員はいるはずなのに、新しいプロジェクトを任せられる人が見つからない」
「DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したいが、必要な知識を持った人材が社内にいない」
多くの企業が直面する真の課題は、単なる頭数の不足ではありません。「人はいるが、必要なスキルを持った人がいない」という状況、すなわち「スキルのミスマッチ」です。
変化のスピードに追いつかない日本企業
背景には、かつてないスピードで進むビジネス環境の変化があります。
現代は、VUCA(ブーカ:変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と呼ばれています。テクノロジー、とくにAI(人工知能)の進化は驚異的なスピードで進み、ビジネスモデルも顧客のニーズも絶えず変化しています。
このような環境下では、企業が競争力を維持するために必要な「スキル」もまた、急速に変化し、陳腐化していきます。昨日までの専門知識が、明日には通用しなくなるかもしれない。
私たちは、そんな「スキルの賞味期限」が短くなる時代を生きています。
たとえば、データ分析やAI活用といった新しいスキルへの需要は爆発的に高まっていますが、その供給は追いついていません。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査(2024年度)でも、DXを推進するうえで、こうした新しいスキルを持つ人材の「量」と「質」の不足が最大の課題として挙げられています(*)。
*独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2024年度)全体報告書」
この変化のスピードに、企業の人材育成や採用のしくみが追いついていない。これこそが、人手不足感が解消されない根本的な原因です。



