「メンバーシップ型」の限界

これまで日本企業の多くは、「メンバーシップ型」と呼ばれるしくみを採用してきました。新卒を一括で採用し、職務(ジョブ)を明確に限定せず、様々な部署を経験させながら長期的に育成するというものです。

かの松下幸之助氏が「事業は人なり」と述べたように、人を大切に育て、組織への帰属意識とチームワークで勝つという考え方は、高度経済成長期における日本の競争力の源泉でした。

しかし、変化が常態化し、高度な専門性が求められる現代においては、その限界が露呈しています。「何を専門としているのか」「どんなスキルを持っているのか」が曖昧になりがちで、適材適所の配置や、個人の専門性に対する正当な評価が難しくなっています。

パートナーシップの概念
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「ジョブ型」の落とし穴

この状況を打破すべく、近年は「ジョブ型」マネジメントを導入する企業も増えています。

これは職務の内容や責任範囲を「職務記述書(ジョブディスクリプション)」で明確に定義し、その職務を遂行できる人材を配置する考え方です。しかし、ここにも大きな落とし穴がありました。

「ジョブ(職務)」という単位は、変化の激しい現代においては硬直的すぎます。導入時に詳細な職務記述書を作成しても、半年後には現状と乖離かいりしてしまうかもしれません。

また、職務を厳密に定義しすぎると、「これは私の仕事ではありません」というセクショナリズムが生まれたり、部署を横断するような人材配置が難しくなったりと、かえって組織の柔軟性を損ねてしまうケースも散見されます。