幸せとは「好きな仕事」に就くことではない

好きなことを仕事にしたいと思っている人は多い。しかし、人生の喜びは「やりたいこと」ではなく、「やらなければならないこと」のなかにある。その「やらなければならないこと」こそが、あなたの仕事なのだ。

昨今は、「好きな仕事」をやることで幸せになれるという価値観がもてはやされている。私がここであえて言いたいのは、はたして本当にそうなのかということだ。

私の考えでは、幸せになる条件は「好きな仕事」「やりたい仕事」ができるという自由のなかにはない。

むしろ、語弊はあるが「やらなければならないこと」のなかにあると考える。

私自身の経験でも、たとえば現在は「一人でも多くの人に仕事を紹介したい」という思い、言い換えれば「自分がやらなければならない」という使命感から人材紹介の仕事に取り組んでいる。

それは私がやりたいこと、好きなことではなく、あくまでもやらなければならないと感じていることであって、しかも「やらなければならないこと」だからこそ、大きな幸福を実感しながら日々仕事に取り組んでいる。

握手をするビジネスマン
写真=iStock.com/GCShutter
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仕事は社会における自らへの“天命”

問題は、その「やらなければならないこと」が、会社や他の人から与えられたものなのか、それとも自分の意思でおこなおうと決めたものなのかということだ。

あくまでも自分の意思で「やらなければならない」と受け入れ、やることを決断した仕事であれば、人は幸せになれる。

だからこそ私は、仕事は選り好みせずにはじめてみるべきだと考える。どんな仕事であっても、まずは「これは自分がやらなければならないことだ」と捉えれば、社会における自分の役割を一種の“天命”として受け入れたことになり、「世の中の役に立つ」という思いを満たして幸福を感じるようになるわけだ。

繰り返すが、大切なのは「好きなこと」「やりたいこと」ではない。

郡山史郎『君の仕事は誰のため?90歳現役ビジネスマンが伝えたい「自分を活かす」働き方』(青春出版社)
郡山史郎『君の仕事は誰のため?90歳現役ビジネスマンが伝えたい「自分を活かす」働き方』(青春出版社)

好きな仕事ややりたい仕事であったとしても、実際に働いてみて、自分が思い描いていた仕事とは違う、あるいは想像していたほど自分の思いどおりにできない、といった事態に遭遇した場合、その仕事への興味を一気に失ってしまう可能性が高い。それは仕事のモチベーションがあくまでも「自分のため」であって、「人のため」「社会のため」ではないからである。

人のため、社会のためと考えれば、いま目の前にあり、「やらなければならない仕事」のなかに幸せを見出せるはずだ。逆にいえば、「やってもやらなくてもいいが、自分の好き勝手にできる仕事」のなかに、人は幸福感を見出せない。

もちろん、やらなければならない仕事を遂行していくのには苦労が付きまとう。なぜ定年後の人生後半戦に入ってまで、そうした苦労をしなければならないのかと疑問に思う人もいるかもしれない。

しかし不思議なことに、一方で、人間は苦労のなかに面白さや楽しさを見出す生き物でもある。

あなた自身を振り返れば、順風満帆でやり遂げた仕事より、苦労に苦労を重ねて結果を出した仕事のほうが深く記憶に残っていないだろうか?

定年後の仕事も同じように、「やらなければならないこと」、そしてそこに伴う苦労のなかに、きっと絶大な幸せを感じることができるはずだ。

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