人間の幸福度は何で決まるのか。ワンキャリア取締役の北野唯我さんは「人が幸福を感じるために必要な要素は、所得や学歴よりも『選択』に大きく左右される」という――。

※本稿は、北野唯我『仕事を好きになる技術』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

渓流の涼しさを楽しむおじいさん
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なぜ「ホワイト企業」でも病んでしまうのか

「今の仕事が、どうしても好きになれません」「毎日が消化試合のようで、夢中になれるものが何もないんです」「給料に不満があるわけではないけれど、このままでいいのかと焦燥感ばかりが募ります」

私は職業柄、20代から30代のビジネスパーソンから、キャリアに関する相談を受ける機会が多くあります。

彼ら彼女らの多くは、非常に真面目で優秀です。「会社に行きたくない」と無断欠勤するわけでもなく、与えられた業務は期限通りにそつなくこなします。

ハラスメントが横行するようなブラック企業に勤めているわけでもなく、むしろ福利厚生の整った「ホワイト企業」にいる若手から、こうした相談を受けることのほうが多いくらいです。

しかし、持て余すエネルギーの持って行き場がないかのように、その瞳はどこか冷めていて、自分自身の現状に対して鬱屈としたモヤモヤを抱えている心模様が伝わってきます。

「仕事がつまらない」の正体

あなたも、日曜日の夜にスマートフォンを眺めながら、似たような感情を抱いたことはないでしょうか?

激しく「この仕事が憎い!」「今すぐ会社がなくなればいい!」と怒り狂っているわけではない。過労で心身をすり減らしているわけでもない。

ただ、適温のぬるま湯の中にずっと首まで浸かっているような感覚で、目の前の仕事に対して「消化試合」のような、あるいは「終わりのない作業」のような虚無感を感じてしまう――なぜ、私たちは仕事に対して、このような「ぬるい絶望」や「無気力」を抱いてしまうのでしょうか?

多くの人は、その原因を「仕事の環境」や「自分自身の適性」に求めます。

「配属ガチャに外れて、希望の企画部署に行けなかったからだ」「今のルーティン業務が、自分の本来やりたいことと合っていないからだ」「会社の方針が古く、上司が自分のアイデアを理解してくれないからだ」

たしかに、それらもモチベーションを下げる要因の一つでしょう。環境が人に与える影響は決して小さくありません。しかし、断言します。それはあくまで表面的な症状に過ぎず、本質的な原因はまったく別のところにあります。

結論から言いましょう。

仕事がつまらない、夢中になれない最大の理由は、仕事の業務内容そのものではなく、あなたの中に「選択肢がない」という状態、あるいは「自分で選択肢を決められていない」という状態が慢性的に存在しているからです。

正確には、「自分には選択肢がない」と認知しているからです。