「人間の幸福度」に関する研究
世界中で行われている「well-being(ウェルビーイング/心身ともに満たされた幸福な状態)」に関する研究でも、このことを裏付ける非常に興味深いデータが出ています。
人が幸福を感じるために必要な要素を突き詰めていくと、大きく3つの条件に行き着くそうです。
1つ目は、「健康」であること。2つ目は、良好な「人間関係」があること。そして三つ目が、「選択肢と意思決定(自分で納得して選べたという感覚)」があることなのです。
たとえば、神戸大学と同志社大学が国内約2万人を対象に行った大規模な実証研究(「所得や学歴より『自己決定』が幸福度を上げる」─神戸大学ニュースサイト)でも、この事実が明確に示されています。
「進学や就職などの進路を、自分の意思で決定したかどうか(自己決定)」という要素が、実は「所得の多さ」や「学歴の高さ」よりも、人の幸福度に強い影響を与えていることがデータで証明されているのです。
健康と人間関係が重要であることは、誰でも直感的に理解できるでしょう。体が痛ければ何も楽しめませんし、職場でいじめに遭っていれば地獄です。
しかし、多くの人が見落としがちでありながら、実は最も人間のメンタルを左右するのが、この3つ目の「選択肢(自己決定感)」なのです。
自分で選択できないゲームは苦しい
想像してみてください。あなたが最新のRPG(ロールプレイングゲーム)をプレイしているとします。
広大なオープンワールドを自由に歩き回り、仲間にするキャラクターを選び、戦うモンスターを自分で決め、自分だけのストーリーを作っていけるゲームなら、寝る間も惜しんで何十時間でも熱中できるでしょう。
しかし、どんなにグラフィックが美しくても、「右に行け」「次はこいつと戦え」「この武器しか使ってはいけない」「ここではこのセリフを言え」と、システム側からすべての行動を強制され、決められた一本道をただ進むだけのゲームだとしたらどうでしょうか。
自分の意思が介在する余地が1ミリもないゲームをやらされたら、どんなに壮大な世界観でも、開始30分でコントローラーを壁に投げつけたくなるはずです。仕事もまったく同じです。
「自分にはこの会社で、この仕事をするしか道がない」「この仕事を辞めたら、自分のキャリアは終わってしまう」「上司の言う通りに動くしか、生き残る術がない」
もしあなたが心の底でそう思い込んでいたとしたら、どうなるでしょうか。

