2026年5月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。国内経済部門の第1位は――。
▼第1位 習近平が「日本に行くな」と煽った意外な結末…街から中国人が消えて分かった「日本の観光業」の知られざる強さ
▼第2位 「日本円の紙くず化」へのカウントダウンが始まった…高市首相が狙う「借金1342兆円を帳消しにする」禁断の処方箋
▼第3位 「食料品の消費税ゼロ」を実現する気など全くない…「レジの改修に時間がかかる」と逃げ回る政府と財務省の本音
「渡航自粛要請」でも訪日客増
高市早苗首相による昨年11月の「存立危機事態」発言に、中国政府は激しく反発。日本への経済的な報復を実質的に意味する「渡航自粛要請」を自国民に対して発した。一時は観光業を中心とする日本経済に大きな影響を及ぼすとも報じられたが、実際にはほとんど日本に打撃を与えることはなかったようだ。
2025年11月、ブルームバーグは旅行データ専門の調査会社チャイナ・トレーディング・デスクによる予測として、日本の観光業に暗い影響が出るとの情報を伝えていた。
たしかに中国からの旅行客に限れば、減少は実際に起きていた。同データによると、中国政府による自国民への渡航自粛要請を受け、中国からの訪日旅行予約の約30%がキャンセルされている。
同社のスブラマニア・バットCEOは、年末までの消費損失額が、最大12億ドル(約1900億円。4月30日現在のレート、1ドル159.54円で換算、以下同)に達すると試算していた。
バット氏はさらに踏み込み、中国人旅行者が2026年まで来日を控えれば、累積損失は最大90億ドル(約1兆4000億円)に膨らむとも述べている。
だが実際に数字が出揃ってみると、この見通しは覆った。中国客の減少分を補う形で、他国からの訪日客が伸びたのだ。
2025年の訪日外国人数は、過去最多の4270万人。前年の3690万人を大幅に上回ったと、米旅行業界専門誌のスキフトが今年1月に報じた。
勢いは今年に入っても衰えなかった。ブルームバーグによると、中国人観光客の低迷が続くなかでも、2月の世界からの訪日外客数(観光・ビジネス等で日本を訪れた外国人数)は前年比6.4%増に転じた。経済的制裁として渡航自粛要請を放った中国だが、結果として目標を達成することはなかった。
たしかに中国客は半減したが……
実際のところ、日本の観光産業における中国市場の存在感は無視できない。
ブルームバーグによると自粛要請以前、訪日外国人のおよそ4人に1人が中国人旅行者だった。7〜9月期には、中国人客がインバウンド消費総額の約27%を占めていた。日本の観光産業は、インバウンド収入の4分の1超が一国の政治判断ひとつで揺らぐという、いわば依存の状態にあった。
今年に入ると早くも、渡航自粛要請の影響が数字に表れ始めた。
米NBCニュース部門のNBCニュースは、日本政府観光局が発表した今年1月の訪日外客数データをもとに、前年同月比4.9%減の360万人にとどまったと報じている。前年実績を下回ったのは、コロナ禍の入国制限で訪日客全体がほぼ途絶えていた2022年1月以来、実に4年ぶりのことだ。
パンデミック後、インバウンド需要は右肩上がりで伸び続けてきた。だが渡航自粛要請からわずか数カ月で、訪日客ははっきりと減少に転じた。
全体を押し下げた主因は、中国人客の急減だ。中国からの訪日客は、前年同月比61%減の38万5300人にまで落ち込んだ。

