ミスをしてもすぐに立ち直れる、強い心はどうすれば手に入れられるのか。作新学院大学経営学部教授でプロメンタルコーチの笠原彰さんは、「心の立て直しは『根性』ではなく『技術』。そして、その入り口は呼吸だ」という――。
同点に沸く日本 日本―オランダ
写真=共同通信社
W杯日本―オランダ戦後半、同点に追い付き大喜びの小川(左から2人目)と日本代表(2026年6月14日、米テキサス州ダラス)

ただの「惜しい引き分け試合」ではなかった

6月15日に行われたワールドカップの初戦。日本代表は、世界の強豪オランダを相手に2―2の引き分けを演じました。

後半50分、相手のエースであるファンダイク選手にヘディングで先制点を許します。けれど日本は57分、中村敬斗選手が得意のカットインシュートで追いつきました。さらに一度はまたリードを許しながら、88分には鎌田大地選手がもう一度同点ゴール。2度のビハインドを、2度とも追いついた一戦でした。前半からゴールキーパーの鈴木彩艶選手がビッグセーブを連発したのも見どころでした。

この試合を「惜しい引き分け」で終わらせるのは、ちょっともったいない。なぜなら、ここにはサッカー日本代表以外のみなさんにも使える「折れない心の作り方」が、ぎゅっと詰まっているからです。

心理学では、この力をレジリエンス(回復力)と呼びます。この記事では、

・点を取られた瞬間、心と体には何が起きているのか
・なぜ「気合」だけでは立て直せないのか
・そして、「赤信号」の状態から「青信号」の状態へ戻すための具体的な方法

を解説していきます。

「うまくいかなかった直後」にどうするか

スポーツでもピアノでも、勉強でも仕事でも、一番心が折れそうになるのは「うまくいかなかった直後」です。

サッカーなら失点した瞬間。テストなら最初の問題でつまずいた瞬間。ピアノやバイオリンの発表会なら、一音ミスした瞬間。ここで「もうダメだ」と気持ちが沈んでしまうか、それとも「次、次」と立て直せるか。その差が、最後の結果を大きく変えます。