会議や商談の場でプレゼンがうまい人は、何が違うのか。元日本マイクロソフト役員の澤円さんは「プレゼンの目的は、相手に理解してもらうことではない。スライドの見栄えやスマートな話し方にこだわるよりも、もっと別に意識すべきことがある」という――。(第2回)

※本稿は、澤円『思考をアップデートする全技術 うまくいく人はなぜ、考え方を柔軟に変化させられるのか?』(アスコム)の一部を再編集したものです。

会議でプレゼンテーションを聞くビジネスパーソン
写真=iStock.com/kazuma seki
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スペック・差別化は“聞き手にいらない情報”

あなたはプレゼンが得意ですか?

自信を持って「得意だ」と答えられる人はそう多くはないかもしれません。何かしらの苦手意識を持ちながら取り組んでいるのが実情のようです。でも、それはとてももったいないこと。なぜなら、プレゼンを通じてあなたはもっと輝けるし、周りの人をもっとハッピーにできるからです。

僕はこれまで数々のプレゼンをこなし、登壇経験を積み重ねてきました。多いときには年間300回を超えたこともあります。そこで本稿では、僕がつちかってきたプレゼンの経験を軸に、コミュニケーション全般における「当たり前」を疑っていきます。

まず、プレゼンで初心者がよく陥るミスの話から始めましょう。それは「話さなければならないこと」を話してしまうことです。

たとえば、商品のスペックや他の商品と差別化できる調査データなど。でも、考えてみれば「話さなければならないこと」は、すべてこちらの勝手な都合に過ぎません。確かに相手に伝えたいことかもしれませんが、相手からすれば、貴重な時間を割いてまで「聞かなくてはならないこと」ではないのです。ここに大きなギャップが生まれます。そして実に多くの人がこのミスを犯してしまう。

次に多いのが、相手に「内容を理解させるため」に話すことです。これは少し惜しいのですが、やはり不十分。確かに話を理解させることは重要ですが、内容の理解のみにとどまるのは、良いプレゼンとは言えないからです。

語るべきは「聞き手が成功する姿」

そもそも、プレゼンは「目的」があります。それは何か? 僕はプレゼンの目的をこのように定義づけています。

《プレゼンの目的=聞いた人が喜んで行動すること》

つまり、オーディエンスの行動につながらなければ、そもそもプレゼンの目的を果たせていないという考え方です。厳しい言い方になりますが、オーディエンスが行動しなければ成果につながらないわけですから、「プレゼンをした意味がない」と考えたほうがいいかもしれません。まずこの認識をアップデートしていきましょう。

では、相手が喜んで行動するためには、どのような要素が必要なのでしょうか? 僕はそれを「ビジョン」と表現しています。

ビジョンとは、いわば「北極星」です。つまり、プレゼンによって「相手がどんな状態になれば成功なのか」を示すもの。いったん決めたらそこに向けてまっしぐらに進めるようなものです。逆に、北極星がフラフラしていると相手をさまよわせることになります。北極星の位置をしっかり定めることが、プレゼンでは何より大切です。