老後になっても元気に過ごすには、どうすればいいのか。リハビリテーション科医の安保雅博さんは「高齢者が転倒すると、最悪の場合、要介護や寝たきりの状態を招いてしまう。転びにくい体をつくるために、50歳を過ぎたら意識して摂ってほしい食べ物がある」という――。(第6回)

※本稿は、安保雅博『歩幅を見れば、寿命がわかる 「死ぬまで歩ける体」のつくり方』(アスコム)の一部を再編集したものです。

シニア男性のケア
写真=iStock.com/byryo
※写真はイメージです

転倒が“寝たきり老人”の原因になる

高齢者が要介護や寝たきりになる原因として、見逃せないのが「転倒」です。

「ちょっとつまずいただけ」
「段差でバランスを崩しただけ」

そんな何気ない転倒が骨折などのケガにつながり、そのまま寝たきりになってしまうケースは少なくありません。

そして、転倒は決して偶然起きるものではありません。背景には、加齢とともに進行する“体のヨボヨボ化”があります。若い頃は問題なく歩けていた人でも、年齢を重ねるにつれて足がしっかり上がらなくなり、歩幅の狭い、転びやすい歩き方になっていきます。

高齢者の転倒に深く関係している体の問題は、次の3つです。

①筋力の低下
②柔軟力の低下
③バランス力の低下

①筋力の低下で特に衰えやすいのが、

・肩まわり(肩甲骨周囲筋)
・背中(脊柱起立筋)
・お尻(殿筋)
・太もも(大腿四頭筋)

です。

「不運な事故」ではなく「老化の結果」

とくに、背筋の衰えは、全身に大きな影響を与えます。背筋が弱る→体をまっすぐ保てなくなる→腕の重みが前方にかかる→頭の重さを支えられず、肩も前に倒れていくという流れで、重心が崩れて不安定になり、転びやすい状態になってしまうのです。

②の柔軟力が低下すると、筋肉や腱、靭帯などが少しずつ硬くなり、関節の可動域がどんどん狭くなっていきます。その結果、歩く動作そのものが小さくなる「ちょこちょこ歩き」の人が増えていきます。

③バランス能力は、平衡機能や筋力・姿勢・関節の動く範囲(可動域)・反応の速さ(反射神経)・判断力や注意力などの認知機能という総合的な要素で成り立っています。これらが少しずつ衰えてしまうことにより、若い人ならふらついても踏ん張れるような場面でも、そのまま転倒してしまうのです。

転倒は単なる不運な事故ではなく、筋力低下→柔軟性低下→バランス能力低下という流れで起こる、いわば「老化現象の結果」なのです。

そして転倒による骨折は、その後の人生を大きく変えてしまいます。入院をきっかけに歩かなくなり、筋肉が減り、さらに転びやすくなる。こうして要介護状態へ進むケースは少なくありません。