SNSで広まった保護者の怒り
中学3年生の課外授業と称して、子供たちにアブノーマルな性教育が施され、その教材がポルノ雑誌となれば、保護者が怒り出すのも無理はない。
今年の4月、ドイツのザクセン州というところのオーバーシューレ(日本の小学校5年から高校までが一緒になった学校)で、本当にそれが起こった。今回は、保護者の怒りの声がSNSで広まり、私の耳にも入ったが、その後の政治家やメディアの動きを見ていると、一つ間違えば、もみ消されていても不思議ではなかった気がする。ドイツの教育は一体どうなっているのか?
詳しくはこうだ。問題が起こったのは公立の学校で、3月、そこの9年生(14〜15歳)の生徒に、外部のNGOが、民主主義教育のためと称して演劇ワークショップ(「勇気(Mut)」をテーマにしたもので、そもそも性教育の一環ですらない!)を実施した。
ところが、ベルリンからやってきた2人の女性講師(!)が配布した資料のなかに、『Queer Sex(クィア・セックス) あなたの好きにして!』というタイトルの18禁ポルノ雑誌が含まれていたというのだ。
Queerとは、LGBTQ+のQ(クィア)で、伝統的な性二元論に当てはまらない全ての性的マイノリティを指す。
雑誌には当然、本稿では絶対に書けない男性同士の性行為の写真や、性器が写ったものなど、エグい写真が載っていたわけで、子供たちからそれを聞いた保護者は怒り心頭。学校に抗議した結果、これがSNSで全国に知れ渡ったというわけだった。
当然、州の教育省もこの事件を重く見たし、警察も捜査に入った。
一方、NGOは「このような資料が学生の手に渡ってしまったことを深く遺憾に思います」と事実を認めているものの、雑誌はコラージュ制作用に提供された寄付の雑誌類に「紛れ込んでしまった」もので「不適切な内容が含まれていることに気づかなかった」と意図的ではなかったと釈明している(NGOが公表した声明文)。
意図的であったかどうかはさておき、授業の一環として未成年にポルノが配布されるという重大事案にもかかわらず、この件を取り上げた主要メディアは数えるほど。その中の一つが、ドイツの主要紙の中では珍しい保守系の新聞、Die Welt紙だった。
当該の記事のリードは、「ザクセン州の学校で発生した事件を受け、警察は女性容疑者2人を捜査中。演劇プロジェクトの一環として、9年生の生徒たちにポルノを見せた容疑。このプロジェクトは、過去に何度も批判を受けてきた財団から資金提供を受けている」。
NGOを支える“財団”の正体
この“授業”を行なったNGOは「ドイツ社会主義青年団・ディ・ファルケン」といって、名前の通りの左派組織だ(ファルケとは鷹のことで、ファルケンはその複数)。
そして、重要なのは、この団体が「アマデウ・アントニオ財団」のいわば下請けとして活動していたこと。この財団が、DieWelt紙のいう「過去に何度も批判を受けていた財団」である。
「アマデウ・アントニオ財団」というのは何かというと、「民主主義の防衛」を掲げ、「反差別」や「多様性」や「LGBTQ」の推進のために活動している有名な組織だ。
ちなみに、ほとんどの大きな財団は、思想的に近い政党と協働関係にあるのが常だが、「アマデウ・アントニオ財団」は緑の党と強力な共生関係にあることで知られている。
なお、資金の大半は政府からの補助金で、「アマデウ・アントニオ財団」には、直近では年間600万〜900万ユーロ(11億〜16億円)が流れ込んでいると言われる。つまり、国民は自らの税金で間接的にこの財団を支援させられているわけだ。



