避けたいことがあるときは「マイナスな未来」を伝える
ですから「こういうことは避けたいな」という状況にあなたがいるのなら、ポジティブな未来を描くだけではなく、マイナスな未来を伝えることも大事です。すると相手にはその状況を避けたいという気持ちが生まれ、結果としてあなたと同じようにその未来を避けるための行動を検討するようになります。
効果的なのは次のような場面です。
・断りたいとき
・改善してほしいとき
・指導するとき
・交渉したいとき
相手はプラスに感じているようだが、こちらは困っている……。相手は特に気にしていないようだが、どうしても伝えたい……。そんな「プラスとマイナスが一致していないとき」ほど、ネガティブな未来を示すことは効果的です。あなたの置かれた状況を相手が想像できるようになり、お互いの利害がようやく出揃います。もしあなたが「察してほしいな」と思うことがあるのなら、それは相手の察しが悪いのではなく、あなたの抱えている事情を相手に伝えられていないのが原因です。
ぜひ、未来を使い分け、言葉にして相手に伝えるようにしてみましょう。
「ダメな提案」は面白いほど共通している
【原則②】「言い方」と一緒に「自尊心」も満たす
広告会社に勤めていた頃、競合プレゼンというものがありました。一つの案件に対して、複数の会社やチームがそれぞれ提案し、より良い戦略やキャンペーン設計を選ぶというものです。コピーライターとして仕事をしていると、こうした「勝ち負けのあるプレゼン」というものに、多いときでは年に10回以上参加することになります。
私は以前から、「良い提案とはどういうものか」という質問を社内の先輩だけでなく、同業他社、時にはクライアントにも質問していました。どうしても事業環境や案件の性質が異なりますので、回答はさまざま。内容だけでしか選べないという人もいれば、事業理解が鍵だとおっしゃる人もいる。結局最後は人間性にしか差は出ないと言い切る人だっている。これといったポイントはなかなか見つかりません。
ですが「ダメな提案」について話を聞くと、面白いほどに共通点がありました。その一つが、「最初でつまずいたら終わり」というもの。例えば聞く側にとっては、序盤でズレを感じてしまうもの。提案する側にとっては、最初の考え方を説明しているパートでクライアントにイマイチ刺さっていないもの。こうした提案が終盤みるみる印象を覆して採用に至ることは、ほとんどないそうなのです。