イオンと業務提携

ベルクはおもしろ企画を次々と打ち出して新しい客層を取り込み、かつ、従業員の働きやすさの追求に貪欲な企業です。

そう変化したのは原島社長が大学卒業後3年間の修行先からベルクに戻った時に始まります。

当時、店舗数は30数店舗で、1年間に6~7店舗出店していたそうです。現在は130店舗を超える規模ですが、当時も今と同じくらいの出店スピードで現場に人が足りず、教育も十分にできていない状態で退職も多かったようです。

人が足りないので商品補充なども十分にできず売り場が荒れ、既存店の売り上げも前年割れが続く状況。

そこで、店長レベルを一定以上に保つための社員教育と、仕事の仕組み化、標準化を進めようと考えたのです。

修行先だった「しまむら」から学んだ店舗数が増えても売り場の質が維持できる仕組みづくり、加えて2006年にイオンと業務提携し、大手量販店の仕組みも勉強。

2016年には社員教育専門施設「ベルクトレーニングセンター」を埼玉県寄居町に開設し、年間を通して社員教育ができるように整えました。こうした社員教育の充実によって、標準化された売り場を維持できるようになり、高い生産性を実現することが可能となりました。

標準化されたきれいな売り場
筆者撮影
標準化されたきれいな売り場

ベルクとは真面目なスーパーである

こうしたベースが出来上がったことで、売り場の標準化が維持され既存店の売り上げが伸び続けるようになりました。この土台が出来上がったことで、競争力のある取り組み、つまり、おもしろ企画を実践できるようになりました。

結果として、1店舗あたりの売り上げが上がり、従業員一人当たり売上高は3702万円(2024年2月期)と業界平均の1.28倍に引き上がりました。

【図表4】ベルクの1店舗当たりの売上高推移

戦略の基本は「違い」を作って、それを「つなげること」です。ベルクはそれを人によって作り上げているスーパーと言えます。

ベルクとは飛び道具でおもしろ企画を打つ変わったスーパーではなく、高い生産性を背景に、安定した店舗売上を維持することを可能にしている、実に真面目なスーパーです。

Better Life with Community ~地域の社会の人々に より充実した生活を~。

これがベルクの経営理念です。

従業員を大切にし、地域の人々のためにできることを人の能力を最大限に発揮する環境を整えて実行する。そんな「人」を中心においた経営をするベルクに今後も注目していきたいと思います。

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