トライアルが店頭で駆使する最新のデジタル技術

九州を地盤とするディスカウントストアのトライアルHDが、老舗大手量販店であった西友を3826億円で買収し、完全子会社にすると発表しました。これは流通業界においてはビッグニュース。特に、西友の一時期の勢いを見ていた方々からしたら驚きのニュースです。

西友、トライアルが買収
写真=共同通信社
トライアルホールディングスの取締役で創業家出身の永田洋幸氏(左)と西友のCFOを務める野村優氏

しかしその驚きは、西友が買収されることよりも、西友を子会社化するトライアルという会社を知らない人が多いことからきています。

トライアルとは何者なのか。なぜ多くの人はトライアルを知らないのか。トライアルの実態を整理することで、西友を買収するに至った納得の理由を解説します。

今回の買収劇。トライアルは九州では有名な小売業ですが、東京などの都心に住む人の中には「その店なんの店?」とピンときていない方も多いかもしれません。しかしこの会社、実は日本の小売業の中でもトップクラスのDX化を実現させている企業として業界では有名です。

具体的には、顧客の購入情報と販売管理を結び付けた「ID-POSシステム」を活用した自動発注によりローコストオペレーションを実現。売り場では「Skip Cart」という同社独自のセルフスキャン&決済ゲートの通過でレジ人員を削減し、会計待ちをなくす仕組みを導入しています。

タブレット端末とスキャナーが搭載されたレジカート。デジタルサイネージの内容は時々で変化する。
画像提供=トライアルホールディングス
タブレット端末とスキャナーが搭載されたレジカート(右)。デジタルサイネージの内容は時々で変化する。

また、売り場にはAIカメラを設置し、常に最適な売り場陳列を考えたり、そのカメラで得た情報から、値下げ(ダイナミックプライシング)やクーポン発行をするなど斬新な価格設定を行っています。最新のデジタル技術を駆使して急成長している会社。これがトライアルです。