芯から温めると血流が良くなる「温熱効果」
夏のお風呂、皆さんはどうされているでしょうか。暑いからシャワーだけ、湯船に浸かるのは冬だけ、という方も多いかもしれません。私のスタンスとしては、夏でもぜひ湯船に浸かってほしいと思っています。
ただ、夏の入浴には、知らずにやっていると効果を台無しにしてしまう「もったいない習慣」がいくつもあります。それをお伝えする前に、一つ知っておいていただきたい言葉があります。「温熱効果」です。
お風呂が体にいい一番の理由は、お湯に浸かって体を芯から温めることにあります。体が温まると、全身の血管が広がって、血のめぐりが良くなる。これが温熱効果です。血のめぐりが良くなると、酸素や栄養が体のすみずみまで運ばれ、逆に疲れや不調の原因となる老廃物は流し出される。シャワーで体の表面をさっと流すだけでは、ここまで温まりません。湯船に浸かってこそ得られる効果なのです。
そして大事なのは、この温熱効果が、お風呂から上がった後もしばらく続くということ。湯船から出ても、体がぽかぽかと温かく、血のめぐりが良い状態が、しばらくキープされるわけです。お風呂の健康効果は、湯船に浸かっている時間だけでなく、上がった後のこの時間にも続いている。ところが、夏のお風呂上がりにやりがちなことの多くが、この「せっかく続いている温熱効果」を、自分の手で打ち消してしまっているのです。一つずつ、具体的に見ていきましょう。
「冷たい水」より「常温の水」、牛乳もおすすめ
まず、もっとも多くの方に関わるであろうことが、風呂上がりの水分のとり方です。入浴では、1回で500ml、多いときは800mlもの汗が出るという研究があります。これだけの汗をかくわけですから、「お風呂の前後で水分をとりましょう」と、私もいつもお伝えしています。理想は、入る前にコップ1〜2杯、出た後にも1〜2杯。出てから飲むのでは遅いこともあるので、入る前から飲んでおくことが大切です。水分補給そのものは、ぜひ続けてほしい習慣です。
(参考:医学と生物学 2010;154(8): 376-386)
問題は、その水の温度です。汗をかいた後だと、つい冷たい水をゴクゴク飲みたくなりますよね。ただ、これは体にとってはもったいないのです。せっかく温熱効果で体が温まり、血のめぐりが良くなった状態が続いているのに、冷たい水を流し込むと、胃腸の熱が奪われて血流が悪くなってしまいます。温熱効果が、そこでリセットされてしまうのです。
ですから、同じ水分をとるなら、冷たい水より常温の水がおすすめです。もちろん、暑くてどうにもならないときは、冷たい水で体温を下げてかまいません。ただ、常温のほうが、温まった効果はずっと長続きします。
水分の吸収のよさで言えば、牛乳や麦茶もいいでしょう。とくに牛乳はたんぱく質が溶け込んでいるぶん、腸からの水分吸収が良くなると考えられます。要は「飲むな」ではなく、「水分はしっかり、ただし冷たすぎるものを一気に飲むのは避けてほしい」ということです。