6月の英国の国民投票で、EU離脱という結果になったのは大変な驚きだった。

英国内には、以前から、EU懐疑派が一定数いたとはいえ、さまざまな方面に影響が出る「EU離脱」という選択肢は、現実主義の英国においては最終的にはありえないと私自身考えていた。

6月23日の国民投票でEU離脱派が勝利したイギリス。(写真=AFLO)

案の定、パンドラの箱が開いたように、さまざまな困難が降りかかっている。キャメロン首相の辞任表明、経済的リスクの台頭、スコットランドや北アイルランドの独立への動き。

英国は、結果として、国家的な危機を迎えてしまっているかのようだ。

一方で、さすが英国、というしたたかさも見せている。EU離脱の国民投票の翌日には、もう、公共放送BBCの番組で、離脱をネタにしたジョークを放送していた。

ある有名なコメディ・ニュース番組では、どちらかといえば高齢者がEU離脱に賛成したことを取り上げて、高齢者と若者の対立という、社会的に繊細な問題を、コメディアンたちが次々と「笑い」にしていた。

「(高齢者が苦手なイメージのある)インターネット投票にしていれば、残留派が圧勝だったのに」

「離脱に反対の高齢者は、次々とお亡くなりになる。2年たってから実施すれば、残留派が多数さ」

どのジョークも、際どい。日本のテレビならば、炎上を怖れて放送できないだろう。それを、あえて公共放送であるBBCが放送するところに、深い意義がある。