経済のグローバル化が進む中、いわゆる「グローバル人材」に注目が集まっている。
英語力が大切なことは言うまでもないが、多くの日本人が、英語力については「足りない」という感覚を抱いているのが現状だろう。実際に「足りない」という気持ちは、知っている単語数(ボキャブラリー)にも裏付けられる。
中学校の英語で必要とされるのは、少なく見積もって1000、多く見積もって2000程度だろうか。大学入試では、3000から6000程度。これだけ覚えるだけでも大変だ、という人も多い。
それに対して、英語のネイティブ話者は2万5000から3万5000程度のボキャブラリーを持っていると言われている。つまり、大学入試でトップレベルの実力を誇る人でも、それからかなりの勉強を続けないとネイティブ話者には追いつけない。
このような現状を見ると、英語力が「足りない」という気持ちになるのは、無理もないような気もする。
英語力が足りない、という感覚が一番影響を及ぼすのは、「表現」においてである。話したり、書いたりしようとしても、自分の実力が十分でない気がして遠慮してしまう。そのために、英語の実力を高めるのに必要な「アウトプット」の経験値が、なかなか上がらなくなってしまう。
実際には、たどたどしい英語でも、表現しないよりもしたほうが絶対に実力は上がるのだが、日本人特有の羞恥心や、完璧を求める気持ちから、ついつい、アウトプットをためらってしまうのである。
そこで、ボキャブラリーなどの英語力が足りないから表現をためらう、という心根を一新したい。発想を変えて、乏しい英語力ならばそれなりに、話したり、書いたりするという表現行為を楽しめるようにしたい。