東京商工リサーチが発表した調査によると、2015年の1年間に全国で新しく設立された法人(新設法人)は前年比4.5%増の12万4996社だった。新設法人の増加は6年連続になる。
業種別に見ると、大きく増加した分野の1つがホテル・旅館などの宿泊業だ。前年比58.6%増の601社が2015年に新設された。
宿泊業のコンサルティングを手掛けるホスピタリティマネジメントの山森好高シニアディレクターは「当社にもここ半年ほどで新規にホテルを開業したいという相談が増加しています」と語る。中でも東京や京都、大阪に土地や建物を所有している異業種の企業が、宿泊業の好調を知り、市場参入を考えて相談に来るケースが多いという。新規開業する宿泊業者の間では、「所有する建物をドミトリー風に改装し、シェアハウスのように共同スペースを設置した簡易な宿泊施設を開くことがトレンドになっています」(山森氏)。
東京オリンピックの開催を見込んだ観光産業の盛り上がりや、Airbnbなどの民泊サービスが盛んに報じられていることも、宿泊業の増加に拍車をかけているという。現在は「需要に供給が追いついていない状況」(山森氏)であるため、今後も宿泊業の新規開業は続く見込みだ。
(大橋昭一=図版作成)