個人宅での民泊は法的グレー営業

個人が一般住宅や賃貸住宅の空き室に観光客を有料で泊める「民泊」が広がりをみせている。アジアからの観光客の急増に加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が追い風となって、14年の訪日外国人の数は前年比29.4%増の1341.3万人。今年は6月までで913.9万人と、昨年比46%増の勢いだ。20年には2000万人に達する見込みだが、地価や建設費の高騰でホテル建設は簡単には進まないため、東京や大阪のホテルの客室不足は深刻だ。宿泊費が高騰するという弊害も起きている。

マナーのいい宿泊客ばかりなら問題はないが……。(PIXTA=写真)

このため政府は、宿泊施設の供給確保に関して東京圏や大阪圏などの国家戦略特区で旅館業法に特例を設け、地方自治体が条例を制定すれば民家や空き家で宿泊提供できるようにした。さらに今年6月には「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を決定し、民泊の活用施策を盛り込んだ。

ほとんどの民泊サービスは、自宅の空き部屋を登録しておくと、旅行者がネットで申し込んでくる仕組みだ。ネットの仲介サイトを利用することによって急速に拡大したが、サイトで有名なのは世界約190カ国の物件を登録する「Airbnb」(エアビーアンドビー)だ。アメリカに本社を置き、3万4000都市以上で民泊を仲介している。日本も重点地域の1つとし、国内では旅行者向けなどに1万3000件以上の物件が登録されている。

ところで、なぜ戦略特区に特例が必要なのか。国内では通常、ホテルや旅館、民宿など宿泊料の支払いを受けて宿泊させる場合は、旅館業法が適用される。自宅に不特定多数の人を有償で繰り返し泊める場合も、本来なら旅館業法に基づき、一定の広さの客室や消防設備などを整えて自治体の営業許可を取る必要がある、ということになる。