調査会社のシード・プランニングの発表によると、日本円で仮想通貨のビットコインが取引できる取引所における2016年上半期の取引高は、約780万ビットコイン(約4300億円)だった。16年下半期は約3000万ビットコイン(約1兆6500億円)、17年には約1億5000万ビットコイン(約8兆2600億円)と予想している。
17年以降にビットコインの取引高が大きく伸びる理由について早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄氏は、「仮想通貨への誤解が次第に解け、きわめて重要な技術革新であることが認識されつつあること、仮想通貨に関する法整備が行われて利用環境が整備されてきたことが挙げられます」と説明する。
ビットコインを含む仮想通貨を使う主なメリットは「送金手数料がきわめて低くなるため、現金決済しかできない零細店舗で用いられる可能性があります。海外への送金も低コストでできるため、企業がアジア新興国に業務を簡単にアウトソースできるようになるでしょう」(野口氏)。
日本では三菱東京UFJ銀行などのメガバンクが独自の仮想通貨を発行する見込みだ。野口氏は「メガバンクの仮想通貨は、ビットコインなどと違って価値が変動しないため、送金や決済に広く使われる可能性があります」と指摘する。
(大橋昭一=図版作成)