顧客、取引先、上司を怒らせてしまった。誰にでも起こる大ピンチ! ミスを帳消しにする謝罪で、以前より良好な人間関係を築ける人もいる。現代人にとって必須のライフスキル、「謝り方」を徹底検証する。
Q.
あなたはある企業の中堅社員。忙しさのあまり、上司から依頼された仕事をすっかり忘れていたために呼び出しが。ひととおり注意された後、仕事のやり方にまで話は広がっていく。そこまでねちねち言わなくてもいいのに……。【A】「申し訳ありません。申し訳ありません」と頭を下げながら聞く
【B】「細心の注意を払っていたのですが」とミスした理由について述べる
【C】「せっかく○○部長からお声がけいただいたのに、私の考えが甘かったです」と毅然とした態度で言う
本当の目的はストレス発散
「弱い者イジメ」タイプとは、優位な立場にいることを利用して、弱い立場にいる者の過失を必要以上に攻撃する人である。店員を土下座させ、携帯のカメラで撮影し強要容疑で逮捕された客はこのタイプの典型。しつこく部下の失敗を責める上司もこのタイプといえるだろう。
このタイプは謝罪を求めるというより、ストレスを発散するために文句を言いたい気持ちのほうが勝っているようでもある。
ある百貨店内の書店では、新人やパートの女性店員を選んでは「このシリーズの第1巻を探してくれ」と頼む30歳前後の男性客がいた。しかし店員がいくら探しても第1巻は見つからず、「1巻がなかったらこのシリーズを読めないだろ!」としつこく絡み、店員を泣かせて去るという事件が相次いだ。
店員が第1巻を探しても見つからないのはあたりまえだった。店員に頼む前に、この客はその本を自分で別の場所に隠していたからである。最初から新人の女性店員をいじめようと狙った悪質な客であった。
このケースを担当した苦情・クレーム対応アドバイザーの関根氏は、過去のトラブルをヒアリングしたうえで、その客が来店したときにお客様相談室へ連れてくるよう指示した。
「『手前どもの社員が教育を受けているそうで、ありがとうございます。実は当社への出入りを禁止にさせていただきたいのですが』と申し上げたら『なぜだ?』と言うので、過去の言動をすべて挙げて、『もしあなたがお買い物をするなら、店長か副店長を指名してください』と伝えて話は終わりました。独占企業でなければ『出入り禁止』と言ってかまわないし、こういう人はベテラン社員がガツンと言えば引きます」(関根氏)