顧客、取引先、上司を怒らせてしまった。誰にでも起こる大ピンチ! ミスを帳消しにする謝罪で、以前より良好な人間関係を築ける人もいる。現代人にとって必須のライフスキル、「謝り方」を徹底検証する。
Q.
あなたはあるメーカーのコールセンター担当者。自社のキッチン家電を購入したというお客様から不具合があったと電話が入り、返品・交換を提案すると「返金しろ」との要求。返金はできないと断ると「責任者を出せ」と激昂。さあどうする?【A】「申し訳ありません」とすぐに責任者に代わる
【B】「申し訳ありません」と伝えたうえで、相手の要求額を支払うことにする
【C】「仮に許していただけるとしたら、こういう形ではいかがでしょうか?」と下手に出る
逃げるのではなく相手に飛び込め
損害に見合わない過大な要求や、通常は過失と言えないようなものまで大げさにあげつらってくるのが 「ごね得」タイプである。
たとえば、酔ってケンカして叩かれたとき、被害の程度とは釣り合わない高額を請求する。素人でも賠償金額などをネットで検索できるようになったために、このような事例が増えていると間川 清弁護士は言う。
「企業間の取引でもそうですが、簡単に損害賠償が支払われるものという認識で『いくら払え』と言う方がいます。実際には、そんなに簡単ではありません。こういう場合は、『話し合いで解決できなければ裁判になりますが、その場合は弁護士費用がこのくらいかかります』『仮に裁判で勝っても、訴訟相手にお金がなければ回収できません』と見えていないデメリットを明らかにしていきます。すると相手は『謝罪を受け入れて和解したほうがいい』と考えるようになりやすい」(間川弁護士)
もちろん、以上のような交渉は充分に謝罪をした後での話である。
こちらのミスにつけこんで恫喝してくるチンピラのような相手にはどう対応すべきか。
「『おまえにも家族がいるんだろ』と言われたら『いますけど、その言葉は怖いですね』と言って、時計を見ながら時間と内容をメモする。態度で『あなた、恐喝しましたね』と言うわけです。相手が賢ければ『しまった』と思うでしょう」(苦情・クレーム対応アドバイザー 関根眞一氏)
クレームの常習者は、まずこちらに話をさせ、言葉のなかに過失が生じるのを待って金銭要求に切り替えてくる。そうした相手には言質を取られないよう最小限の言葉で謝罪していく。
恐喝になるか否かの線引きは「一律には言えないが、身体や財産、名誉などを侵害する可能性がある発言」(間川弁護士)である。ちなみに、相場を上回る賠償金額を請求すること自体は法に触れない。
「レストランで料理に虫が入っていたとき、『慰謝料として1000万円払え』と言うこと自体はかまいません。ただし『払わなかったらネットに書いてばらすぞ』といった発言は問題になります」(間川弁護士)