私が実践していることに「60%即決主義」がある。60%の確率でいけると判断したら、40%のリスクがあっても即、実行に移す。この考え方を、私は管理職になりたての頃、上司から叩き込まれ、いまでも実践している。

商売にはタイミングが重要だ。100%の安全性を求めると、商機を逸してしまう。だから、60%オーケーと判断したら、間髪を入れず実行に移す。不都合が生じたら、軌道修正していけばよい。朝令暮改おおいに結構というマインドで、ともかく前に進んでいくのである。

(09年3月2日号 当時・社長 構成=山田清機)

楠木 建教授が分析・解説

資生堂の前田氏は「60%即決主義」という言葉で、「やってみる」ことの大切さを説く。やってみて不都合があったら後から軌道修正すればいい。まずやってみなければ物事は始まらない。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授 楠木 建
1964年、東京都生まれ。92年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。2010年より現職。著書に『ストーリーとしての競争戦略』『戦略読書日記』。
(総括、分析・解説=楠木 建 構成=小川 剛 撮影=若杉憲司)
【関連記事】
「顧客の創造」できぬ企業に存在意義なし! -キッコーマン会長 茂木友三郎氏
【1】好機を逃さない「60%即決主義」―前田新造
なぜ資生堂は営業部員のノルマを廃止したのか
育休取得100%、女性幹部5倍!ダイバーシティ企業は、いま
資生堂・次期社長 魚谷雅彦 -老舗企業立て直しへの挑戦