楽天がインターネットショッピングモールを始めたころは、先に参入した大企業がどこも苦戦していたため、うまくいくはずないと否定論ばかりでした。実際、創業時の出店数はわずか13店舗。スタッフ総勢6人で全国を回って1カ月に5店舗獲得がやっとでした。でもぼくは無限の可能性を感じていた。
問題はどうすればお店の人に話を聞いてもらえるかです。近くの空き地で腕立て伏せやモモ上げをして、汗をかいたまま息を切らせて店に駆け込み、真剣さをアピールすることもしました。
それが“つかみ”になって耳を貸してもらえる。インターネットショッピングの現状をそのまま話し、出店してすぐに何百万円もの売り上げは約束できないけれど、将来的にはこうなるはずで、挑戦する価値はありますと訴える。次第に10件中6~7件は加盟してもらえるようになりました。
重要なのは途中であきらめずにやり抜く力です。ぼくが否定論の嵐にあってもあきらめずに続けられたのは、普通は辛いどぶ板営業もどぶ板と思わず、楽しんでやれたからです。インターネットショッピングは中小商店を元気づけられる。どうすればもっとよくなるか、何か新しいことはないかと常に好奇心を働かせていたからすごく面白かった。ぼくは街を歩いていてもつぶれかかった店を見ると、自分だったらどう立て直すかと考えてしまう。どんな仕事も取り組み方次第で面白くなるし、面白ければ何が何でも達成しようと考えるようになります。
(08年1月14日号 当時・会長兼社長 構成=勝見明)