化粧品会社・コーセーで、社内唯一の女性支店長として活躍する山本恵子さんは、普段から部下にプライベートの相談をされることも多い人望の厚い管理職だ。そんな山本さんも、はじめは空回りマネジメントでチームの雰囲気を悪化させ、ミスが起きる度にいら立つばかりだったと話す。山本さんを変えた、同僚のあるショッキングな一言とは――。
一度は辞めたコーセーで、また
メイクが好きで、人をきれいにする仕事を目指して入社したのがコーセー化粧品だった。美容部員として百貨店の店頭に立ち、お客さまの悩みや希望を聞きながら、個性に合う化粧品をお勧めする。人とのふれあいを大切にする接客の仕事にやりがいを感じていた。
「初めて出会う方々と言葉をかわし、きれいになって帰っていただく。親しくなったお客さまに『この間はありがとうね』と喜んでもらえることがすごく嬉しかったので、本当は辞めたくなかったのですが……」
実は8年間勤めた後、山本恵子さんは一度退社していた。結婚を機に東京を離れて夫の転勤先へついていくことを決めたのだ。福井、大阪と移り住み、いくつかアルバイトも経験したが、またコーセーで働きたいという思いが募る。その後、東京へ戻った山本さんは化粧品の専門店でコーセーの営業マンから声をかけられた。「もしよかったら働いてみる?」と。2年のブランクを経て再入社した山本さんは、人材育成に携わることになる。