藤和不動産の「ベリスタ目黒不動前」は、都心のシングルやDINKS向けのコンパクトなマンションだ。低迷する新築マンション市場にあって、好調な売り上げを記録。販売担当者は全員女性で、1970年代から女性を積極活用してきた同社ならではの試みだ。

<strong>藤和不動産 首都圏事業本部東京事業部 営業部 中原 優</strong>●1983年生まれ。当初は言葉遣いや商品説明に気をとられていたが、上司から「案内係では営業にならない」と言われ、会話重視になった。
藤和不動産 首都圏事業本部東京事業部 営業部 中原 優●1983年生まれ。当初は言葉遣いや商品説明に気をとられていたが、上司から「案内係では営業にならない」と言われ、会話重視になった。

中原優(26)さんは、約半年で完売した「ベリスタ目黒不動前」の担当者の一人だ。入社4年の若さながら、今年度上半期に営業部門の優秀賞に選ばれた。全国350名の販売担当のうち、受賞者は49名のみである。

「モデルルームに足を運んでもらったその日に、いかに心を掴むかが勝負ですね。といっても、ガツガツ売り込むわけでなく、会話をしながら一緒に考えていくのが基本のスタンスです」

中原さんは、購入までのスケジュールを明確に伝え、期間を区切って集中的に検討してもらう短期決戦方式をとっている。都心の物件を選ぶ人たちは忙しいため、長期スパンでフォローしても成約に結びつきにくいという。

完売した「目黒不動前」の購入者は7割がシングル女性で、ほとんどが40代前後のキャリアウーマンである。

「都会で働くシングル女性は、あまりプライベートを話したがらない。とはいえ、購入について相談できる相手も少ないので、プライバシーに立ち入らないようにしつつも、よき『相談相手』になるよう心がけています」

中原さんは、何気ない言葉のやりとりからキーワードを探るという。

「ここは春になると目黒川沿いの桜がとてもきれいなんですが、それを褒めた方には、さりげなく近くの大きな公園の話をふってみたりするんです」