競合他社と長年の付き合いがあり、99%決まっている案件を奪い取る――。超逆風下の戦いで1%の可能性を切り開いたのが、吉田富美香(42)だ。

<strong>日本オラクル GSA営業統括本部 ディレクター 吉田富美香</strong>●名古屋市出身。南山大学卒。中堅IT系企業等を経て現職。コンサルティング営業、サポート、事業開発などを経験。
日本オラクル GSA営業統括本部 ディレクター 吉田富美香●名古屋市出身。南山大学卒。中堅IT系企業等を経て現職。コンサルティング営業、サポート、事業開発などを経験。

それは2年半前のこと。オラクルでは以前からオムロングループとの取引を狙っていたが、オムロンは30年間、全面的に競合他社のシステムを利用していて、新たに導入する統合業務ソフトも、ライバル会社の製品でほぼ決まりかけていた。しかし、上層部の直接交渉で、オラクルも営業の機会だけはもらえることになった。そのプロジェクト責任者としてオムロン専任営業担当に抜擢されたのが、吉田だった。

もっとも社内には、あきらめムードが漂っていた。機会をもらえたと言っても形だけで、長年の取引関係をひっくり返すことは不可能と思われていたのだ。吉田自身、本格的な営業経験はなく、仕事にかける情熱を買われての抜擢だ。戸惑いもあったが、「やらずに失敗するよりも、やってダメなほうが学ぶことも多い」と前向きに考えた。