そして営業先についてこまめに調査するうちに強い味方を見つける。かつて吉田が勤務していた会社はオムロンの子会社と取引があった。当時の先方の担当者が、幸運にもオムロン本社に戻っていたのだ。吉田はこのキーマンのもとにも足繁く通い、京文化やオムロンのニーズを“通訳”してもらった。あらゆる可能性を捨てずに行動し、ニーズを丁寧に引き出そうとする情熱は、やがて先方の共感を呼び始める。週3日、京都で商談をして東京に戻るという生活を続けて3カ月が過ぎた頃、「今後はオラクルとだけ話をする」と告げられた。事実上の内定通知だった。
それから2年半。今では商談に京言葉をまじえて話すことも。「オムロンさんの拠点は世界中にあるので、もっともっとオラクル色に染めていきたいですね」。オラクル色の赤は吉田の勝負カラーでもある。「赤を身につけていると、かき立てられて戦闘的になるんですよ」。情熱が燃え上がる瞬間だ。
■服装や靴の選び方…落ち着いた色の服が中心。スカート系で女性らしさを演出。5~7cmのヒールで歩きやすいものを履く。勝負時は、どこかにラッキーカラーの赤を入れ、新品(ハンカチなど)を持つ。
■お客様との接し方…自然体で話しやすい雰囲気をつくる。食事はコミュニケーションの場なので、昼夜問わず喜んで応じる。
■セクハラ防衛法…振る舞いがオッサン化しているためか、セクハラの経験はない。肩に手を回されても、こちらも回し返して、肩組んで盛り上がります。
■ONとOFFの時間…休みは仕事のことを一切考えないよう心がけている。ゴルフ、テニスに加え、洋食系の料理作りで気分転換。
■自分のセールス点…何でも一生懸命であきらめない。情熱を持ってチャレンジすること。
(芳地博之=撮影)