Part 1 積み立てながら取り崩す「じぶん年金戦略」を目指す

55歳からでも老後資金はまかなえる

老後の資金計画を立てるときに、まず考えたいのは「目標額」ですが、実際には「いくら必要か考えたことがない」という方が非常に多いです。私が相談を受けるときは、まず「老後の生活費を試算してみましょう」とお伝えします。現役時代と同じ生活水準を維持したいと考える人が多いので、家計の支出から子どもの教育費などを除いて計算すると、必要な生活費はおおむね今と大差ありません。

その金額に基づき、年間の支出と退職からの生活年数を見積もり、そこから受け取れる年金額を差し引きます。すると多くの方が「年金だけでは月5万円ほど足りない」という結果になります。これを30年間補うと、約2000万円の不足。金融庁が示した「老後2000万円問題」は、妥当な水準なのでしょう。