ヴァンドーム青山などのブランド名で宝飾品を製造販売するヴァンドームヤマダ。大手百貨店にも多数出店している人気ブランドである。

<strong>ヴァンドーム ヤマダ 第一営業部 東京第一グループ グループ長 代田こず枝</strong>●東京生まれ。1982年三陽商会入社、高級紳士服の販売スタッフ、ショップ店長を歴任。87年ヴァンドーム ヤマダに転職、2008年より現職。
ヴァンドーム ヤマダ 第一営業部 東京第一グループ グループ長 代田こず枝●東京生まれ。1982年三陽商会入社、高級紳士服の販売スタッフ、ショップ店長を歴任。87年ヴァンドーム ヤマダに転職、2008年より現職。

同社営業グループの長として、百貨店対応と社員教育に采配をふる代田こず枝さん(46)は、アパレル会社から転職してきたファッション一筋の営業ウーマン。彼女は販売員の経験を基に、接客の心構えを次のように語る。

「世相を反映してか、ジュエリーは欲しいけれど、贅沢はよくないと購入を迷う方が少なくありません。しかし、装身具がもたらす精神的な充足感が何物にも代えがたいのは事実。ですから私たちも単にモノを売って終わりではなく、お客様にとって購入に値する最高の一つが何なのかを対話で引き出し、示してあげることが大事なんです」

その丁寧な接客スタイルに共感して、リピーターになるお客は少なくない。クリスマスプレゼントを選びに来店した若いカップルのケースでは、男性が選んだ指輪の価格が10万円と知り、女性側が二の足を踏んだことがあった。

「男性の方はプレゼントしたくて仕方ない、女性は欲しいけれどあまりに高価で欲しいと言えないようでした。プロとしてはここで背中を押すのがセオリーかもしれませんが、私は“では2人でお茶でも飲みながら指輪を着けたところを想像し、それから決めてはいかがですか”と申し上げました」

その結果、数十分後に戻ってきたカップルは指輪の購入を決め、翌年も再来店して商品を購入していったという。

このようなお客の視点に立った接客は、日々の努力の積み重ねから生まれたもの。休日のショッピングにも小さなメモ帳を持ち歩き、自分がお客として接した販売員のよかった点、よくなかった点を書き留めて参考にする。

「特に女性はモノだけでなく、買い物の過程も楽しみたいと考える傾向があります。だから私たちもそれに応えて、この人から買いたいと思わせるようなアドバイザーになるべきなんです」