どこの業界でも人手不足が経営課題の1つになっている。採用に力を入れても、なかなか定着せず、辞めてしまう。どうしたらいい人材が獲れるのか――。自身の採用経験から、「企業と応募者のミスマッチを防ぎたい」と起業した男のストーリー。

結果で評価される世界で戦いたかった

【田原】「表」という苗字は珍しいお名前だけど、ご出身はどちらですか。

【表】私自身は東京です。両親が石川県金沢市の出身で、そちらにはほかの地域より多いと聞いています。

【田原】表さんは東京育ちなのに、大学は京大に進まれる。どうしてですか?

【表】高校は都立で、アメフト部。そこそこ強い学校でしたが、最後の大会で一回戦で負けてしまって、「もっと本気でやりたい」という気持ちが湧いてきました。大学でいうと、京大は国立だけどアメフトが強い。熱心に勧誘されていたこともあって、選びました。

【田原】学部はどこですか。

【表】法学部です。アメフトができればよかったので、学部にこだわりはありませんでした。

【田原】じゃあ、大学ではアメフト漬けの毎日ですか?

【表】そうですね。2年生から試合にも出してもらって、4年生のときは副キャプテンに。1年留年したときもコーチとして関わっていました。

【田原】卒業後はモルガン・スタンレー証券にお入りになる。

【表】本当はアメフトの選手になりたかったのですが、それはなかなか難しい。ならばスポーツと同じ要素があるところで働こうと思って、外資系証券会社の市場部門を選びました。

【田原】外資系証券会社がスポーツに近いってどういうこと?

【表】スポーツで結果を出すには、ストイックに自分を磨き続けなければいけません。ただ、努力しても運に恵まれずに敗れてしまうこともあります。一方、結果を出せばキャリアに関係なく評価される。外資系証券も同じで、厳しい世界だけど、1年目でも結果を出せば評価される。そういう環境は自分に合っていると思いました。

【田原】具体的には、どんな仕事をされていたのですか。

【表】銀行や保険会社といった大手の金融機関に、主に債券を売っていました。一番シンプルなのは日本の国債。あとは企業が発行する社債や、それらを組み合わせた債券を商品として売っていました。