松下幸之助が面接で見ていたポイントとは?

【田原】企業と応募者の価値観がマッチするかどうかは、どうやって調べるんですか? 合う合わないって感覚的だから非常に難しいと思うけど。

【表】まず応募者がその会社や部署の人たちと似ているかどうかをテストで計測します。性格や価値観に共通点が多ければ、カルチャーがマッチする確率は高い。ただ、テスト上で共通点が多くても、実際に働いてみると、やっぱり合う合わないが出てきます。たとえば人によっては、ある価値観は譲れないけどほかは気にならないという場合もある。そういった人の感じ方による違いをフィードバックしてAIで機械学習を行い、カルチャーフィットの精度を上げていきます。

【田原】それを判断するには、どれくらいの人数のデータが必要ですか。

【表】mitsucariでいうと、1社で最低10人分のデータは欲しいですね。そこから数が増えるほど精度が高まります。

【田原】合った、合わなかったの結果は、どうやって測るのですか?

【表】いろいろです。たとえば長く勤めているとか、誰に評価されて偉くなっているのかといったことも、合う合わないの評価に入れられる仕組みになっています。

【田原】でも、日本のサラリーマンは我慢強い。会社と合わなくても疑問を持ちながらも、辞めずに長く勤める人が多いんじゃないかな。

【表】たしかに合わないまま働いている方もいらっしゃいますが、一方ではすごくイキイキと働いている方もいます。たとえばイキイキと働いている社員が少数だとしても、そういう方たちの波形を取って、それに合う人たちを採用すればミスマッチを減らせるのではないかと。

【田原】表さんは「スポーツに近い」とおっしゃって証券会社を選んだ。業種と個々の会社では、どちらのほうが合う合わないに影響しますか?

【表】どちらもあります。ただ、最近は個々の会社の社風が占める割合が大きくなっています。「何をやるか」より「誰と働くか」を重視している人が増えている印象です。

【田原】幸之助さんに、どんな社員を抜擢して役員にするのかと聞いたことがあります。頭のよさかと聞いたら「自分は中学入試に失敗した」、健康かと聞くと、「自分は20歳で結核になった」、誠実さかと聞いたら、「経営者が社員一人ひとりを見ていれば社員は誠実になる」と言う。じゃあ何を見るのかと迫ったら、「運だ」と。「難しい問題にぶつかったときに面白がれる人間は運を引き連れてくるから、抜擢する」とおっしゃってました。mitsucariを使えば、そういう人を採用できますか。

【表】幸之助さんは天才だから運のいい人を独自の感覚で見抜かれたのでしょう。ただ、その感覚をほかの人が引き継ぐのは難しい。一方、mitsucariなら、幸之助さんが抜擢した人を「ユーモアの要素が強い」というように分析できます。優れたマネジャーが属人的な感覚でやっていたことを数字に落として、その人がいなくてもシステムが選別の助言をしてくれるというのがmitsucariの強みです。

【田原】企業を支えているのは2割の優秀な社員で、残りの6割は普通、2割は足を引っ張るという話がありますね。mitsucariを使えば優秀な2割が3割や4割になったりする?

【表】お客様のステージによって違います。優秀な2割を何とか3割にしようとしている会社もあれは、後ろの2割を減らすことを重視している会社もある。mitsucariはどちらにも活用できます。