海外に「出稼ぎ」に行く日本人女性が増えている。一体なぜなのか。出稼ぎに行った女性やブローカーらへの取材をまとめた週刊SPA!編集部 国際犯罪取材班『海外売春――女たちの選択――』(扶桑社新書)より、男性記者が韓国で出会った女性のエピソードを紹介する――。(第1回/全3回)
韓国・ソウルの全景
写真=iStock.com/SeanPavonePhoto
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「海外出稼ぎ」は1カ国15日間がセット

ソウルの中心部から車で30分ほどの郊外「イルサン(一山)」にある古びたビルに行くと、20歳前後の若い女性が待っていた。関西なまりで名乗った「ナオ」にフリーの基本料金17万ウォンとオプション分の25万ウォン、合わせて42万ウォン(約4万5000円)を渡すと……。
古びたオフィスビル。風俗店のある気配はまったくない
古びたオフィスビル。風俗店のある気配はまったくない〔出所=『海外売春――女たちの選択――』(扶桑社新書)〕

ベッドに敷かれたバスタオルの感触を背中で確かめつつ、横たわるとさらに尋ねた。

「韓国にはいつまでいるの?」
「あと10日かな?」

彼女のような「海外出稼ぎ」は同じ国には15日間滞在というのがひとつのセットだという。観光ビザで入国しているので、それ以上長いと出国の際に疑われることがあるのと、滞在の途中で生理がきて「仕事」ができなくなるからだという。

しかし、その15日間で250万円を稼ぐ、というのが韓国での出稼ぎのパッケージだと彼女は言った。

単純計算で、一日あたり17万円弱――。

女性の取り分は「250万円の半分くらい」

薄給の記者からするとそれは驚くべき数字だった。気を取り直してさらに聞く。

「250万円はいけそうなの?」
「今のところ順調かな!」

女は屈託ない笑顔を見せた。

「客が払ったカネの半分くらいはもらえるものなの?」

ずいぶんと突っ込んだ質問をしたと自分でも後悔したが、異国で母国語を話す記者に心を許したのか、ナオは意に介さず答えた。

「そう、ちょうど半分くらいや」