スカウトから誘われ、5日で渡韓を決める

LINEの男は、挨拶もなくぶしつけにメッセージを送ってきた。

「2週間で250(万円)が目安ですけど。どうですか?」

愛する男から紹介されたスカウトの言葉にナオは断る理由が見つからなかった。結局、スカウトとは実際に会うこともなく、韓国に渡ることを決めたという。

スマホを使用する女性
写真=iStock.com/Urupong
※写真はイメージです

本番をする仕事とは聞いていたが、どんな形態なのか、単価がいくらなのか、そのうち自分の取り分がいくらなのかもスカウトに聞くこともしなかったという。

「べつに聞いても、どうしようもないし。こっちに来てからひと通りシステムは説明されたけど、頑張れば2週間で250万円って。それだけで十分かなって」

驚かされたのは、ナオがスカウトを紹介されたのは10日前のことだった。最初に入国5日目と聞いていたので、スカウトの斡旋からたった5日で韓国渡航を決めたことになる。スカウトの仕事の手際のよさと、ナオの妄信的な「愛」は今どきと言っていいのだろうか。

「日本と全然、変わらんよ」

デリヘルで働いていたため、性風俗への抵抗はそこまでなかったのかもしれない。とはいえ、ここまで来て後悔はないのか、素直な感想を尋ねてみた。

「後悔? なんで」
「例えば韓国の男が日本の男と違ったりして怖いとか、嫌だとか?」
「日本と全然、変わらんよ」
「仕事してて迷惑だった客とかはいなかった?」
「うん、まだおらん。むしろ日本よりもマナーがいい人多いかも。お兄さんみたいな優しい人も多いし」
「客は若い男が多い?」
「若い人が多い。というかおじさんは断ってる」
「断る?」
「お兄さんも最初、身分証送ったでしょ? それが私にも送られてきてイヤだったら断ってもいいの」

客が窺い知らぬところで個人情報がダダ漏れなのはいい気はしないが、ある意味、働く女性に優しい風俗ということなのか。それとも身バレを徹底的に避けるためなのか。

「残りの10日間、休みはないの?」
「稼ぎにきとるわけやし」