文字だけではわからない「なりうる」発言の真意
【西田】今回は燻り続けている「日中関係」について、安田さんと語り合ってみたいと思います。普通に考えたら日中関係の悪化は大問題だと思いますが、どうなんでしょうか。安田さんはどう思いますか?(編注:対談の収録は2025年12月10日)
【安田】SNSなどを見ていると、「中国に強く言える政権でよかった」みたいな声も目立ちますね。
【西田】保守層には「言うべきこと言って何が悪いんだ」みたいな空気も強いようです。
【安田】そうした意見を目にしていると、実際のところ「これってどれくらい危ない状況なの?」というのが、ちょっと分かり難いという人も多いんじゃないかと思います。
【西田】ですね。そういう時は、物事の始まりから整理するに限ります。ことの発端は25年11月7日の臨時国会、高市早苗首相が答弁で「台湾有事は存立危機事態になりうる」と発言したことでした。これ自体は内容だけ見ると、従来の政府見解から大きく逸脱しているわけではありません。後に「完全に維持」していると閣議決定もされています。ただ、僕は答弁の映像を見ていて、「あ、これは高市さん、分かって言っているな」とも思ったんですよ。
【安田】私は活字でしかニュースを追っていなかったのですが、実際の映像を見ると発言のニュアンス、言葉の印象が変わりますか?
【西田】はい。答弁の映像を見ると、「なりうる」という個所を強調するように、かなり丁寧に、間を取って言っているんですよ。あの絶妙なトーンから受ける印象として、僕は「確信犯だ」と思いました。
【安田】なるほど。中国にとって台湾は「核心的利益」という位置づけなので、そうしたトーンも含めて高市発言が「日本国内の単なる政治発言ではない」と受け止められた可能性が高いですよね。しかし、この「台湾有事は存立危機事態になりうる」という表現そのものも、正直かなり分かり難かったです。
【西田】存立危機事態は、日本が直接攻撃されていなくても、日本と密接な関係にある「国」が攻撃され、その結果として日本の存立が脅かされる状況を指す概念です。こうした事態が認定された場合に限り、自衛隊は限定的に武力行使を認められます。
【安田】でも、日本は台湾を国家として承認していませんよね。
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