訪日外国人客数が年間4000万人に迫っている。政府は「観光立国」を掲げ、さらなる拡大を計画している。急増にはどんなリスクがあるのか。このままでいいのか。インバウンド推進に潜む光と影を、西田・安田両氏が語り合う──。
観光客で混雑する京都・清水寺の周辺(画像=共同)
観光客で混雑する京都・清水寺の周辺(画像=共同)。観光客が多すぎる「オーバーツーリズム」も指摘されるが、政府は訪日外国人客数の目標を上積みし続けている。

急増する外国人の中でも桁違いに増えた観光客数

【西田】ここ最近、日本でも外国人の「問題」が急速に話題になっていますね。

【安田】ええ。先日の参議院選挙でも「日本人ファースト」をスローガンとする参政党が大きく躍進しました。政治、行政、社会の外国人への関心が、ここまで高まったことはなかったのではないでしょうか。

【西田】その背景にあるのがオーバーツーリズム――日本のどこに行っても外国人の旅行者が目に入るようになり、急速に外国の人たちに対する不信感や懸念が高まっていることです。

【安田】「外国人問題」を考えるとき、まずは労働者とツーリストの問題は分けて考える必要がありそうですね。

【西田】はい。数字を見ると、留学生も労働者もインバウンドも全部、過去15年ぐらいで急激に増えてはいます。しかし、その中でも桁違いに増えているのがインバウンドなんですよ。2024年の訪日外国人客数は3687万人に達しました。今年は4000万人を突破するんじゃないか、という勢いです。留学生が約33万人、外国人労働者数が約230万人であることを考えてみれば、桁が違うわけですよ。

【図表】過去20年でインバウンドは7倍に増えた

【安田】ただ、このオーバーツーリズムの問題の難しいところは、どれくらいの数字を超えると「オーバー」なのかが特に決まっているわけではないことです。体感的にはすごく増えている感じはするのですが、実際のところどう考えればいいんでしょう。

【西田】基準となる数字や対策を国が考えるべきときに来ていると思います。実際、「外国人問題」と言われるとき、多くの人がまず思い浮かべるのは旅行者の振る舞いでしょう。留学生や労働者は中長期で日本に滞在する意図がありますから、そこまで羽目を外したりしない。一方、ツーリストはあくまで一過的に遊びに来るだけ。民泊も問題です。

【安田】同じ「外国人」といっても性質がぜんぜん違いますね。

【西田】我々の目に頻繁に映り、日常生活に影響を与えたりしているのは、ツーリストであるわけですから、オーバーツーリズムへの対策は、そろそろきちんとやったほうがいいのは確かなんですよ。これを放置しすぎると、かえって外国人ぎらいが日本人に増えかねません。そのとき重要なのは、今どの程度オーバーツーリズムが起きているのか、どんな状況になったら「オーバーツーリズム」と呼べるのかを定義することだと思います。

ところが、現状では定量的には示されず、定性的にしか報じられていません。政府も推進はするけど、対策の腰は重い。僕はそれが問題だと思っているのですが、安田さんはどう思いますか?