大規模農家は高い所得を確保
今(26)年産米の米価(概算金)は24年産米を若干下回るだけで、コストも大きな変化はないと思われるので、農家の収益状況はほぼ24年産米と同じと考えられる。
次の図表5は24年産米の規模階層別のコストと所得である。ここでも規模が大きくなるにつれてコストが低下し、所得が増加することがわかる。零細農家と大規模農家のコスト格差は歴然としている。
ちなみに、零細農家はもう何十年も赤字だ。それでも米価が高いので町で買うよりも自分で作る方が安上がりだということで農業を続けてきた。彼らに取材すれば米価が下がると経営が苦しくなると言うに違いない。しかし、零細な農家の所得は、サラリーマン収入や年金である。
食料システム法の下で公表されたコメのコスト指標、玄米60キログラムあたり2万535円は、1~3ヘクタール規模の農家のコストを基に算定したものだ。この図から、この算定がコストを高く見せるための恣意的なものであることがうかがえる。
24年産米は米価が上昇したので、所得も増加した。1ヘクタール以下の階層は赤字のままだが、0.5ヘクタール未満層の赤字は23産米の36万円から15万円へ、0.5~1ヘクタール層の赤字は46万から7万円へ、赤字幅は縮小した。1~3ヘクタール層は22万円の赤字から43万円の黒字に転換した。大きな階層の所得は、15~20ヘクタール層1300万円、20~30ヘクタール層1400万円、30~50ヘクタール層2700万円、50ha以上3200万円となった。
多額の血税を使って、いまやるべきことなのか
要するに、24年産と26年産は経営状況が変わっていない。当時、農業経営が危機的状況を迎えなかったことを考えると、いま備蓄米を買い入れて、米価浮揚、経営改善の対策を講じる必要はない。
なお、25年産は米価がさらに上昇したので、所得もさらに増加した。2024年と同じ単収・物財費を前提に、2025年産の概算金2万8200円を当てはめると、50ヘクタール規模で約1億円になる。私の知り合いの農家は、25年は節税に節税を重ねても納税額は1000万円を超えたと言っていた。農機具を扱っている私の高校時代の友人は、「コメ農家に大変なバブルが起きている」と40年ぶりに連絡してきた。
いまなぜ、多額の国家予算をつぎ込んで、政府備蓄米を買い戻さなければならないのか。政府の説明をうのみにせず、需給と農家経営のデータから検証する必要がある。



