天皇や皇族の基本的人権をどう考えるか

象徴天皇制の根幹を揺さぶる改正皇室典範が、7月17日に成立した。男系継承維持を優先する余り、国民も皇族も望んではいない、関係者の誰も幸福を追求できない内容になっている。将来に禍根を残さないよう、旧宮家から養子を取る制度設計を撤回し、悠仁さまの後継世代から女性・女系天皇へ道を開く再改正に急いで取り組むべきだろう。

皇統の危機をめぐる混乱は、改正典範が10月24日に施行されてからも続く。男女の別を問わず、皇族の結婚自体が難しくなった時代を迎え、悠仁さまに男子出産の精神的重圧がかかる結婚のお相手を見いだせるかという問題がある。男子出産のプレッシャーは、雅子皇后も経験されたが、今後も皇位を継ぐ男性(旧宮家からの養子皇族を含む)と結婚する女性たちにのしかかっていくのである。憲法が保障している自由と平等の精神・理念に照らしていかがなものだろうか。

参院予算委員会に臨む高市早苗首相(中央)=2026年7月17日、国会内
写真=時事通信フォト
参院予算委員会に臨む高市早苗首相(中央)=2026年7月17日、国会内

改正皇室典範をめぐって重要度を増しているのが、象徴天皇制はどうあるべきかという議論だ。天皇や皇族の基本的人権をどう考えるのか。自己決定権が認められるならば、婚姻や非婚の自由、プライバシー権はどこまで貫けるのか。継承・就位の拒否はあり得るのか。国民にどこまで寄り添えばいいのか。例えば、先の大戦への反省、地震などの被災地訪問はどこまで期待されるのか――。

皇位継承問題は、象徴のあり方をめぐる議論の延長線上にあるはずだが、高市早苗政権は、典範改正に当たって、憲法を絡めた議論を深めずに、拙速に数の力で押し切ってしまった。この罪は軽くない。