「反天皇的、反国民的、反憲法的だ」
皇室と親交がある近現代史研究家の保阪正康氏は、高市政権に厳しい。8月7日配信のサンデー毎日×週刊エコノミストオンラインで、「改正皇室典範は、反天皇的、反国民的、反憲法的だ」と指摘したのである。
保坂氏は「私はこれを一時的な権勢に驕る政治権力の横暴であると考える。そもそも当事者である天皇と天皇家の意見を聞かず、旧宮家の意見も聞いていない。さらに憲法が、天皇の地位は『主権の存する日本国民の総意に基づく』と定める、その国民の意見も聞かないままに、高市政権と、その周囲に存在すると思われる男系男子による皇位継承に固執する勢力が強行した暴挙である」と説く。
細川護熙元首相も8月10日発売の月刊文藝春秋に寄稿し、天皇を「象徴天皇制の最大の擁護者で、かつ実践者である」と評したうえで、皇位継承問題について、こう記した。
「現代国家との共生も考えず、女性差別の甚だしいやり方で、三十何親等も離れた赤の他人に皇位を移して、『男系継承は守られた』と言ったところで、国民が喜ぶわけでも、世界が称賛するわけでもない。『日本はいつまで時代遅れのことをやっているのか』と言われるのが落ちだろう」
細川氏は、昭和天皇に仕えた近衛文麿を祖父に、高松宮宣仁親王の御用掛を務めた細川護貞を父に持つが、「高市氏の皇室に対する態度は信じがたい」とも言う。
政府主催の4月29日の昭和100年記念式典での振る舞いが一例だ。天皇のお言葉がなく、天皇皇后両陛下の入場にあたって先導役を務めたのが木原稔官房長官だったことだ。1968年の明治100年式典では昭和天皇のお言葉を賜り、佐藤栄作首相が先導役だった。
細川氏は「記念式典はまるで昭和の音楽祭とも言われたが、高市氏がガッツポーズや合いの手を入れるなどノリノリな様子だったのは周知の通りだ。恐らく天皇陛下の前で、高市氏は今この場での最高権力者は自分だと思っていたのではないか。それは危険なことである」と警告を発している。
「世の中って進歩していくことが大事」
改正皇室典範の成立後、皇族として初めて口を開いたのが、秋篠宮さまだった。パラグアイ訪問前の8月13日に記者会見に応じ、当事者の一人として「私自身いろいろと考えるところはありました」と切り出された。天皇陛下が6月の記者会見で「皇族数の確保の在り方についての議論も、国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでいます」と発言されたことについて、秋篠宮さまは「もっともだ。その通りだと思っています」と賛同する考えを示された。
制度設計に当たって皇室の状況や意向をふまえた議論が行われていないのではないかと問われたのに対し、「私も生身の人間ですから、色々と思うところはもちろんあります」「やっぱり世の中って進歩していくことが大事」などと述べられた。女性皇族の役割について「皇族の役割に女性、男性の区別というのはない」とも語られた。
憲法上の制約がある中で、改正皇室典範に対し、「思うところがある」とし、「世の中は進歩が大事」「皇族の役割に女性、男性の区別はない」と述べられている。時代に合わせて象徴天皇制のあり方、皇族の役割も柔軟に変わるべきだとの思いが、もどかしさとともに伝わってくる。政治はこうしたメッセージにきちんと対応すべきではないのか。

