「象徴天皇制の根幹を傷つけた」

改正皇室典範が成立した翌7月18日の全国紙社説は、産経新聞のみが「皇統を守る成立を歓迎する/静謐な環境で養子縁組実現を」と賛意を示す。読売新聞は「象徴天皇制の根幹を傷つけた/問題多い養子制度を白紙に戻せ」と主張し、朝日が「時代錯誤の『物語』には賛同できぬ」、日経は「皇室の未来へ総意探る議論を続けよ」と批判のトーンを強めた。

押さえておきたいのは、読売などは、蓮舫氏やSNS空間の「愛子天皇(待望)論」とは一線を画し、現実的な危機管理論を展開していることだ。

秋篠宮さま、悠仁さまへの皇位継承を尊重しつつ、その次の世代に男系男子が途絶えるリスクに対し、女性・女系という選択肢を封印してしまった高市政権の戦略性の欠如や危うさを指摘しているのである。

7月の読売新聞世論調査(24〜26日)では、皇室典範再改正による女性天皇の容認に「賛成」が85%に達し、「反対」は8%に過ぎなかった。高市内閣の支持率は57%と、6月調査から12ポイントも下落し、発足して初めて5割台となった。物価高対策が不十分だったこともあるが、改正皇室典範が大きな要素となったのは否めない。

ちなみに、8月の読売調査(21~23日)では、内閣支持率は56%と横ばいながら、発足以来最低を更新した。

皇居正門前に架かる「二重橋」
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「議論を再開する考えは毛頭ない」

高市首相は、7月27日の衆院予算委(閉会中審査)で、中道改革連合の階猛幹事長から「改正皇室典範の付帯決議に基づき、安定的な皇位継承策を検討し続けるための有識者会議を直ちに新設すべきだ」と求められ、「議論を再開する考えは毛頭ない」「次代以降の皇位継承のあり方については、悠仁殿下のご年齢やご結婚をめぐる状況を踏まえたうえで議論を深めていくべきだ」と一蹴した。

強気の裏では、議論が再開すれば、悠仁さまの次世代において男系男子の養子案が持続可能なシステムとして機能するのか、という疑義に直面することを恐れているのだろう。

この点は、所功京都産業大名誉教授が8月10日のAERA DIGITALに、男系男子の養子案について「養子皇族から男子が生まれ続けなければ意味がないという理屈になる。普通に考えれば、想像を絶するほどの精神的な負担となるはずだ。養子の男性も結婚のお相手の女性も、よほど腹の据わった人物でないと務まらないだろう」と語っている通りだ。

悠仁さまの結婚のお相手、養子皇族、その結婚相手ら関係者らの心理的ハードルを少しでも下げておくという発想になぜ至らないのか、不思議である。