気象庁は、9月前半にかけて全国的に気温が高い状態が続くと予想している。厳しい残暑の中で、熱中症のリスクを下げるにはどうすればいいのか。サイエンスライターの飯銅重幸さんが、研究論文などを基に熱中症対策の最新事情を紹介する――。

35度以上の猛暑日は“増えている”

「最近、気のせいか何か暑い日が増えてきたような気がする」。そう感じている方も多いかもしれない。しかし、それは決して単なる気のせいなどではない。気象庁によると、地球温暖化などの影響で、近年、最高気温が35度以上となる猛暑日の年間日数は増加する傾向にあるという。

【図表1】全国(13地点平均)の猛暑日の年間日数
出典=国土交通省・気象庁ホームページ。全国13地点における年間の猛暑日数の平均を表した図。「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」より引用

このように暑さが厳しさを増しつつある現在、注意したいのが熱中症だ。消防庁によると、近年、熱中症による救急搬送者の数も増加の傾向にあるという。

【図表2】平成20年~令和8年の熱中症による救急搬送人員の推移
出典=総務省・消防庁ホームページ。「令和8年6月の熱中症による救急搬送状況」より引用

重症化すれば、命にも関わる可能性もある熱中症だが、その対策として最も大切なものの1つがこまめな水分補給だ。厚生労働省は「熱中症予防のための情報・資料サイト」において「室内でも、屋外でも、のどの渇きを感じなくても、こまめな水分補給を」と呼びかけている。

スポドリの多量摂取には注意が必要

では、熱中症対策として具体的にどのような飲み物で水分補給したらよいのだろうか。環境省の「熱中症環境保健マニュアル2022」では、のどが渇く前にこまめに水分をとり、1日当たり1.2リットルを目安にするよう呼びかけている。そして、大量に汗をかいた場合には、汗で失われた塩分も補える経口補水液やスポーツドリンクなどが適しているとしている。

ただし、スポーツドリンクの継続的な多量摂取には注意が必要だ。厚生労働省が2026年に開いた「職場における熱中症防止対策に係る検討会」では、スポーツドリンクには糖分が多く含まれ、ペットボトル症候群などによって糖尿病が重症化し、救急搬送されるケースがあるとの指摘が出ている。

なお、消費者庁によると、経口補水液は脱水時の水分と電解質の補給を目的とした「病者用食品」であり、医師、薬剤師、管理栄養士などの指導に沿って利用するものとされている。