深部体温の上昇を抑制する「アイススラリー」
さらに昨今、熱中症対策として注目されているのがアイススラリーだ。アイススラリーは、スポーツドリンクなどをシャーベット状にした飲み物で、いわば飲む氷だ。
広島大学などの研究成果によると、体を内部から冷やし、深部体温の上昇を抑制することで、熱中症対策に効果を発揮するという。
では、まず、筑波大学の研究チームの最新の研究を紹介しよう。飲料をアイススラリーにすることで、より効果的に深部体温の上昇を抑制できることが示されたという。
この研究では、健康な若い男性12人(平均年齢22歳)に、スポーツドリンクをベースにしたアイススラリーまたはこれを37℃に溶かした飲料を飲んでもらい、高温下(35℃)で、サイクリング運動を疲労困憊するまでおこなってもらった。すると、アイススラリーは、溶けたアイススラリーよりも、効果的に深部体温の上昇を抑制することが示された。
“冷たい飲み物”より効果が高いという実験結果
そして、アイススラリーとこれと同成分のスポーツドリンクについて深部体温の上昇を抑制する効果を直接比較した広島大学の研究チームの最新の研究もある。
この実験では、大学生のアマチュアソフトボール投手7人に夏の野外グラウンド(気温約30℃)でソフトボールの試合を模した運動(合計84分)をおこなってもらい、運動の前とその途中でアイススラリーまたは冷えたスポーツドリンクを飲んでもらった。すると、冷えたスポーツドリンクよりもアイススラリーのほうがより低く深部体温が保たれることが示された。
さらに、アイススラリーと冷たい水とで、深部体温の上昇を抑制する効果を比較した研究もある。
この研究では、10人の男性にアイススラリー(-1℃)または冷たい水(4℃)を摂取してもらった後に、高温下(34℃)でランニングを疲労困憊するまでおこなってもらい、深部体温を示す指標となる直腸温などを測定した。
すると、ランニング前の測定では、冷たい水を摂取した場合には直腸温が平均0.25℃低下。対して、アイススラリーを摂取した場合は直腸温が平均0.66℃低下した。
そして、ランニング開始後も、開始30分間は、アイススラリーを摂取した場合のほうが、冷たい水を摂取した場合よりも、直腸温が低かった。すなわち、アイススラリーのほうが、冷たい水よりも、効果的に深部体温の上昇を抑制することが示されたという。

