「本好き」の子供を育てる方法は何か。『「ことばで伝える」ができない子どもたち 誰が〈ことばの力〉を育てるのか』(日本実業出版社)を出したノンフィクション作家の石井光太さんは「家庭の中で、読書を“かっこいい”と思える習慣にすればいい」という――。
太陽の光の部屋で読書をする小さな男の子
写真=iStock.com/somethingway
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読書を“かっこいい”習慣にする

私は講演会などで、「子どもに本を読ませたいけど、どうすればいいか」と質問を受けることがたびたびあります。その際に、必ず伝える、もっとも簡単で確実な方法があります。

家庭の中で読書を“かっこいい”と思える習慣にしてくださいということです。

大半の子は、親から「~を読みなさい」と命令されたところで、読む気にはならないでしょう。反抗期の子に至っては、「面倒」「うざい」と言い捨ててきます。

これは、読書だけでなく、「~を食べなさい」「~を片づけなさい」「~の勉強をしなさい」などあらゆることにおいても当てはまります。思春期の子が、大人の一方的な指示に「はい」と素直に従うことのほうが珍しいのです

では、どういうふうに働きかければ、子どもは言われた通りにするのか。

答えは、子どもにとって、それをするのが“かっこいい”と感じられる環境を整えることなのです。

子どもは、大人から「やれ」と言われても煙たがりますが、自分が“かっこいい”と感じることについては、言われなくても即座にやります。友達の間でスマホを持つのが“かっこいい”という空気があればほしがりますし、推し活でグッズを揃えるのが“かっこいい”という空気があればお小遣いを注ぎ込みます。

彼らはそれをすることによって、コミュニティの中で“かっこいい”自分になりたいのです。

親が家庭でつくる「かっこいい」の文化

思い出してみてください。いまの中高生はほとんど煙草やお酒について興味を持ちませんが、30年前は大勢の子たちが隠れてやっていましたよね。当時は煙草を吸ったり、お酒を一気飲みしたりするのが、“かっこいい”という文化があったからです。

ところが、その文化が衰退したいま、子どもたちはそれらに見向きもしなくなりました。“かっこいい”の文化があるかどうかは、それだけ子どもの行動を変えるのです

では、子どもたちの“かっこいい”はどこで生まれるのでしょう。

基本的には三つ。「家庭」「学校」「友達グループ(SNSなどネットのグループも含む)」の価値観です。それらのコミュニティの中にある文化が“かっこいい”を生み出し、子どもたちの行動を決めるのです

親には、学校の文化や、友達グループの文化を決めることはできません。しかし、一つだけ関与できるところがあります。家庭の文化なら、親の取り組みによっていかようにも作り出せるのです。

親がテニスやマラソンが得意で時間を見つけては練習し、いろいろな大会に出場してメダルを取っていたとしましょう。子どもは幼い頃からそれを見たり、やり方を教わったりします。そうすれば、家庭の中にスポーツ=かっこいいという文化ができ上がります。そういう家庭で育った子どもは、自然とスポーツマンになっていきます。

学習も同じです。親が英語を使う仕事をしており、外国人を家によく招いて食事会をしていたとします。子どもがそういう姿を日常的に見ていれば、自ずと英会話=かっこいいという文化ができ上がり、語学や外国の文化に興味を抱きます。