日本語特有の「文脈」や「行間」を読み取れない子どもが増えているという。一体どういうことか。ノンフィクション作家・石井光太さんの新刊『「ことばで伝える」ができない子どもたち』(日本実業出版社)から、その現状を紹介しよう――。
小学生の授業風景
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何を聞いても一言でしか答えない

国語の教科には「文脈」や「行間」といった言葉があります。前後の文章の流れで意味を読み取ったり、直接記述されていない著者の思いや登場人物の心理を読み取ったりすることをいいます。人間は、経験や常識と照らしあわせて情緒力や想像力を駆使するからこそ、それができるのです。

対面のコミュニケーションでも同じです。相手と話をする際は、直接語られない言外の意味を察したり、表情やニュアンスから真意を悟ったりしなければなりません。

そこでは、文脈や行間を読み解くのと同じ力が必要とされ、それこそが人間がAIより秀でている点といわれています。

ところが、学校の先生たちによれば、最近はそれが不得意な子が明らかに増えてきているというのです。

愛知県の中学に勤める女性教員は次のように言います。

最近の子たちは、なんでも一言で表現しようとします。教員に部活の試合の結果について尋ねられても「まあまあ」と答えたり、傘を持ってきたのかと尋ねられても「大丈夫です」と答えたりする。これでは教員は、どういうことなのかぜんぜん見当がつかない。子どもたちの間でも同じことが起きていて、言葉不足であるがゆえに会話が通じていないことがあるのです。それで驚くような誤解が毎日のように起きています。