「おけです」で闇バイトを引き受けてしまう
実際にあった闇バイトの勧誘のLINEでのやりとりが次の通りです。
これを見ると、極端に短縮された言葉の中で、被害者がいとも簡単に犯罪に巻き込まれるプロセスがわかるでしょう。
対面での会話なら、バイトの内容をくわしく聞いたり、報酬が高い理由を確認したりします。相手の風貌や声のニュアンスから、あやしい匂いを感じ取ることもあります。
ところが、SNSの単語や短文でのコミュニケーションでは、そうした情報が省かれてしまうので、細かなことが伝わらないまま交渉が成立してしまう。ゲームのチャットなどを介した児童ポルノの要求なども似たような手口で行なわれます。
仮に子ども時代に犯罪に巻き込まれなくても、このようなやりとりしかしてこなかった子たちは、〈ことばの力〉が育っていません。そうなれば、成人して社会に出たとき、さまざまなシーンでつまずくのは目に見えています。
そういう意味において、細かな言葉で文脈や状況を理解するというのは、文章を読むだけでなく、日常生活を過ごす上でも不可欠なことなのです。
自分が何に困っているかわからない
三つ目に取り上げるのが、自分の困りごとを言語化できない子どもたちについてです。
勉強でもスポーツでも、人は壁にぶつかることが多々あります。このときに必要なのは、言葉で自己分析して原因を明確にすることです。それができなければ、解決策は見つかりません。しかし、最近はそういう子がとても目立つそうです。
不登校を例に考えましょう。
ある日を境に、子どもがピタリと学校へ行かなくなりました。親が心配してどうしたのかと尋ねます。子どもはこう答えます。
「学校に行きたくない」
親はその理由を尋ねます。しかし、いまの子どもの多くはこう答えます。
「わかんない……。なんか無理……」
親にしてみれば、子どもが学校へ行けない原因をきちんと伝えてくれれば、いくらでも支援のしようがあります。
いじめられているなら、加害児に注意する。先生の態度が怖いのなら、改善してもらう。授業がわからないなら、塾へ行かせる。
しかし、子どもから「わからない」「なんとなく」と言われてしまえば、親だけでなく、先生ですら手の打ちようがありません。

