「面接どうだった?」に「女でした」

この先生が教えてくれた例が次の通りです。

例1 修飾語であることに気づかない
クラスメイトの作文に「山頂から見た夜景は、震えるほど美しかった」とあった。これを読んだ生徒は、書いた人が高所恐怖症なのだと思った。

理由:「震えるほど」を美しさの程度を表す修飾語だと捉えられず、「怖くて震えた」と受け取った。


例2 状況と意図を読めないケース
受験から帰って来た生徒に対して、先生が「入試の面接はどうだった?」と聞いたところ、その生徒は「女でした」と答えた。

理由:何を意図して質問されたのかを考えられないので、面接の結果ではなく、面接官の性別を尋ねられていると勘違いした。


例3 会話の流れを読み取れない
授業中に先生が「顔色が悪いな。帰ってもいいからな」と言ったところ、生徒は怒られたと思って泣きだした。

理由:「顔色が悪い」「帰ってもいい」の二つの言葉を相手の意図通りにつなげられないので、「顔色が悪い奴は帰れ」と言われたと思った。

短文テキストに慣れすぎてしまった弊害

なぜ、こういう誤解が生じるのでしょう。先生によれば、子どもたちが幼い頃からきちんと〈ことばの力〉を磨いてこなかった上に、SNSを日常のコミュニケーションのツールとして使っていることが影響しているのではないかといいます。

LINEなどでは一行、もしくは単語でメッセージを伝えるのが一般的です。次のようなやりとりです。

LINEでの単語や短いやりとり
石井光太『「ことばで伝える」ができない子どもたち』(日本実業出版社)より

当人たちにしてみれば、LINEの中ではこれで成り立っているのでしょう。しかし、相手との対面の会話はまた別物です。

LINEでの単語や短いやりとりは、「短文テキストコミュニケーション」といいます。

これがコミュニケーションの主流になってしまえば、会話の流れの中で発言を読み取ったり、相手の質問の意図を察したりするのが苦手になるのは仕方のないことです。

昔もこういう子たちは一定数おり、「天然」とか「KY」と呼ばれていました。しかし、いまの社会では、こうした子どもたちが犯罪をはじめとした危険なことに巻き込まれるリスクが高まっています。