トーマス・バッハ(国際オリンピック委員会新会長)
国際オリンピック委員会(IOC)の第9代会長に選ばれたトーマス・バッハ氏がこのたび、日本にやってきた。レセプションで、財界人約200人にビジネス・スマイルをふりまいた。
「おめでとうございます。(五輪招致レースの)東京の勝利は、あなたたちの勝利です。このことはビジネス界にとって、特別な機会を与えられたことになります。五輪マークと関係を持つことで、世界中の人々に認知されることになるのです」
だから、IOCや2020年東京五輪パラリンピックのスポンサーになってください。口には出さなかったけれど、そういうことだったのだろう。IOCと東京組織委は、この7年間で、日本の企業から1000億円程度を集めないといけないプランとなっている。
そんな事情を考えれば、東京五輪で日本が熱望する野球・ソフトボールを復活させることを検討してもおかしくない。現状では同競技の復活は困難だけれど、ルールを改正すれば何とか道は開けるのだ。
バッハ会長は、可能性を示唆した。
「個人的には柔軟性を持ってもいいと思っています」
ドイツのヴュルツブルク出身の59歳。1976年モントリオール五輪のフェンシング・フルーレ団体で金メダルを獲得した。1991年にIOC委員となり、96年には理事に就任。副会長、法務委員長を務めていた。弁護士で、ソフトな語り口と明快なロジックは定評があるところだ。
ドイツ・オリンピック委員会会長で、ドイツから初のIOC会長となる。任期が8年。さらに4年延長の可能性もある。モットーが「調和」と「多様性」。
東京の会見で、日本と中・韓との国際関係についての質問が出ると、バッハ会長は「スポーツは対話だ」と答えた。
「スポーツは二国間の橋渡しとなる。二国間の難しい問題も、スポーツを通してなら解決される可能性があるのです」
スポーツの価値を信じ、オリンピック運動の推進をリードしていく。もちろん五輪開催の魅力を訴え、五輪ビジネスの発展も図っていくのである。