リオにて上々の「ステップ」

南米初開催のオリンピックとなったリオデジャネイロ五輪が21日(日本時間22日)、閉幕した。日本選手は活躍し、史上最多となる41個(金12、銀8、銅21)のメダルを獲得した。国が強化に本腰を入れた2012年ロンドン五輪を「ホップ」と位置付ければ、このリオ五輪は「ステップ」となり、東京五輪の「ジャンプ」へつながることになる。

日本オリンピック委員会(JOC)公式サイトより

日本選手団の目標は「金メダル14個、メダル総数で30個以上」だった。金メダルの数は目標には2個届かなかったけれど、世界ランキングは6位(ロンドン五輪11位)となった。メダル総数では目標を大きく上回り、世界5位(ロンドン五輪は38個で6位)に躍進した。なぜ、これほど日本勢が競技力を向上させることができたのか。

もちろん選手の才能と努力の結果なのだが、環境としてのワケは主に3つ、ある。まずは2013年9月にブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で2020年五輪の開催地に東京が決まったからである。ロンドンオリンピック検証チーム委員だった間野義之・早稲田大学スポーツ科学学術院教授は「どの競技団体も、リオ五輪を2020年に向けた完全な前哨戦としたことが大きい」と指摘する。

「東京五輪が決まってから、2020年7月までは7年間しかなかった。通常のオリンピックからオリンピックまでの4年周期と違って、各競技団体とも7年計画を立て、その中間大会としてリオ五輪をきっちり位置付けた強化策が実っていると思います」

2つ目は、国の強化支援の拡充である。2008年、文部科学省(のちにスポーツ庁が引き継ぐ)のマルチサポート事業がスタートした。1.アスリート支援、2.マルチサポート・ハウス(現・ハイパフォーマンスサポート・センター)、3.研究開発(2010年より開始)、4.女性アスリートの戦略的サポート(2011年より開始)の4つが軸で、1と2を日本スポーツ振興センター(JSC)が受託した。とくにオリンピック・パラリンピック大会などに向けたアスリート支援として、競技団体の選手強化活動をサポートする競技力向上事業を拡充させ、メダル有望競技を「ターゲット競技種目」に選定し、集中的に支援してきた。いわゆる重点強化である。